ウド(その他表記)udo
Aralia cordata Thunb.

改訂新版 世界大百科事典 「ウド」の意味・わかりやすい解説

ウド (独活)
udo
Aralia cordata Thunb.

ウコギ科多年草。北海道から沖縄まで自生し,朝鮮半島,中国にも分布している。発育は旺盛でやや開張性,高さは2m内外に達する。晩夏に多数の散形花序をつけ,秋には黒色多汁の小さい漿果(しようか)となる。谷ぞいの土壌の深いやや湿った草地に多いが,日本では山菜として,また原産の野菜として古くから利用されている。いくつかの品種群も分化しており,寒ウド群は休眠がなく,露地で晩秋から翌年の2月まで出荷できるが,品質が劣るのであまり栽培されていない。春ウド群は紫,伊勢白などの優良品種がある。休眠が深いので低温にあった後休眠が破れて萌芽する。繁殖は古い根株を株分けして行う。株分けした根株を春~秋まで畑で肥培管理し,充実した根株を養成する。食用にする軟白茎を得るための作型には,(1)気温の上昇した3~4月に盛土軟化を行って,60~75cmになった若茎を4~5月に収穫する普通軟化栽培,(2)養成した根株を掘りあげて,軟化むろや光を遮断したハウスなどに伏せ込み,2月下旬から4月まで収穫する促成軟化栽培(最近は高冷地で根株を養成したものに,ジベレリン処理をして12月には収穫するものもある),(3)養成した未発芽の根株を掘りあげ,1~3℃に冷蔵し,5月以降軟化室に伏せ込んで夏秋に収穫する抑制軟化栽培があり,これらの組合せによって周年出荷されている。おもな産地は東京,埼玉,千葉,群馬,長野,愛知などの都県である。食べるときは水にさらしてあく抜きし,サラダ,酢みそあえ,椀だね,きんぴら,煮物などにする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウド」の意味・わかりやすい解説

ウド
うど / 土当帰
独活
[学] Aralia cordata Thunb.

ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の多年草。茎は高さ約2メートル、葉は長さ1メートルを超え、茎に互生し、長さ10~15センチメートルの卵形の小葉が2回羽状に集まる大形の複葉である。夏に茎上部にいくつかの球状に集まった多数の小花をつける。花は径約3ミリメートルで花弁は5枚。果実は径約3ミリメートルの球形で、秋に黒く熟す。北海道から九州まで各地の山野に自生し、アジア東部温帯に広く分布する。

 自生種は山ウドと称し、若芽や茎を食用としてきたが、古くから栽培もされ、軟白栽培は江戸時代中期から京都を中心に始まった。秋から冬に根株を掘り上げ、フレーム内で加温、遮光し、太く、長く、軟らかな茎を育てる。栽培品種群は北海道の野生種からつくりだされ、休眠性がなく低温でも芽が出る寒ウドと、休眠性がない春ウドとに分ける。春ウドのほうが茎が太く品質も優れているので、現在栽培されるのはほとんど春ウドである。

[星川清親 2021年11月17日]

料理

若い茎はアスパラギンを含み、香りが高く、歯ざわりがよい。古くから春の風味として親しまれてきた。微量のタンニンを含むため、切り口は褐変しやすい。このため、料理の見栄えを損ないやすいので、切ったものを酢水に漬け、水にさらしてから利用するとよい。くせが少ないので比較的料理しやすく、ぬたや酢の物、和(あ)え物、煮物、汁の実などとするほか、サラダにもよくあう。また、刺身のつまや、料理のあしらいとする。山採りのものは、茎は短いが香りが強い。若い葉をつけたまま、てんぷらにするとよい。

[星川清親 2021年11月17日]


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食の医学館 「ウド」の解説

ウド

《栄養と働き&調理のポイント》


 山野に自生する多年草で、若い茎がおもに食用に使われていますが、若芽や若葉、ツボミなども食べられます。
 店先に並んでいるものには、ハウス内で根株に盛り土をして緑化された山ウドと、日にあてずに軟白栽培(なんぱくさいばい)された白いウドがあります。
 旬(しゅん)は冬から春で、山ウドのほうが香りが強く、シャリシャリとした独特の歯触りが楽しめます。
○漢方的な働き
 ウドは水分が多く、糖質が主体の野菜です。
 ビタミンやミネラルの供給源にはなりませんが、漢方ではかぜの初期の発汗解熱、神経痛、リウマチ、頭痛などの痛みをやわらげる働きがあるとされています。
 その際は、独活(どっかつ)(ウドを日干しにしたもの)を細かく刻み、1日量10gをコップ3杯の水で煮詰め、カスを取り除いて、食間3回にわけて飲むとよいとされています。
 食材としてのウドは、おもに汁ものの具や酢のもの、煮ものなどに使われます。
 サラダとして生のまま食べるのもいいでしょう。
 滋養に効果的です。アクが強いので、調理の際は皮を厚めにむき、切ったらすぐに酢水につけましょう。皮は千切りにして水にさらし、軽くゆでてからキンピラにするといいでしょう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウド」の意味・わかりやすい解説

ウド(独活)
ウド
Aralia cordata

ウコギ科の大型多年草。北海道から九州まで,山野に普通に自生するが,また食用として栽培される。茎は太く軟らかく,緑色で高さ 1.5mぐらいになる。葉は長い柄をもち,2回羽状複葉。数枚の葉が茎に互生する。小葉は卵形で,縁に鋸歯がある。夏,淡緑色で5弁の小花が集った球形の花序をさらに総状につける。上方の花は両性花で,下方は雄花になる。果実は小球形で黒く熟する。若い苗は軟らかく独特の香りがあって食用として珍重される。夏の伸びた茎は硬く,食用にならないので「ウドの大木」と呼ばれ役に立たないことのたとえにされる。栽培されるウドは早春に出る若い苗を土でおおってもやし状にしたものである。皮をむき塩水であくを抜いて,酢の物,あえ物,煮物などに用いられる。

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百科事典マイペディア 「ウド」の意味・わかりやすい解説

ウド

ウコギ科の多年草。日本全土,東アジアに分布し山野にはえる。高さ1.5mほどになり,茎は太く,羽状複葉を互生する。小葉は卵形で鋸歯(きょし)がある。8月,小さな淡緑色の5弁花が散形に集まってつく。若い芽,茎は特有の香りと風味をもち,食用とされる。春の代表的な山菜であり,また,野菜として古くから栽培される。低温で発芽する寒ウドと,春,気温上昇とともに発芽する春ウドがある。溝,穴蔵,小屋掛け,盛土などを利用して,若い茎を軟白して(軟化栽培)食用にする。春の季節ものとして,生食,酢の物,煮物などにされる。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「ウド」の解説

うど[根菜・土物類]

関東地方、栃木県の地域ブランド。
栃木県は全国有数のうどの産地で、特に栃木県北部の大田原市・那須郡那須町・那須塩原市が主産地となっている。旬のものは、特にやわらかい。穂先は揚げて、皮は炒めて、茎は生でと全体を余すところなく食べられる。頭痛・目眩・歯痛などに効果がある生薬としても昔から使われている。

うど[根菜・土物類]

東北地方、宮城県の地域ブランド。
主に刈田郡蔵王町・加美郡加美町などで生産されている。ハウスのなかで、ビニールカーテンと寒冷紗の三重被覆とし、刻んだわらを40cmほどの厚さにかぶせ、成長してわらのなかから出たものを収穫する。

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栄養・生化学辞典 「ウド」の解説

ウド

 [Aralia cordata].セリ目ウコギ科タラノキ属の多年草で,若い芽を食用にする.本来山菜であるが,栽培されたものも広く食用にされる.

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