エアポケット(読み)えあぽけっと(英語表記)air pocket

翻訳|air pocket

精選版 日本国語大辞典 「エアポケット」の意味・読み・例文・類語

エア‐ポケット

〘名〙 (air pocket) 下降気流風向の乱れのために、飛行機揚力が減少し、機体の急激な下降や瞬間的な動揺を引き起こす空域。〔モダン用語辞典(1930)〕
※自由の彼方で(1953‐54)〈椎名麟三〉三「街のざわめきは、エアポケットでもあるかのように、聞えなくなって居り」

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デジタル大辞泉 「エアポケット」の意味・読み・例文・類語

エア‐ポケット(air pocket)

飛行中の航空機が急激に下降する空域。局地的な下降気流原因
空白の部分。「政局に一時的なエアポケットが生じる」
船が沈没した際に、船体内部に空気がとり残されてできる空間
[類語](1気流ジェット気流乱気流

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エアポケット」の意味・わかりやすい解説

エアポケット
えあぽけっと
air pocket

航行中の飛行機が急降下現象をおこす下降気流域のこと。航空の初期によんだことばで、当時、飛行機を支えるだけ十分な空気のないポケットだと想像したのが語源である。小型機は軽いので下降気流の中に入ると、すぐにその影響を受けるが、大型機は慣性が大きいので気流の急変域に入っても、対地速度はすぐには変わらず、対気速度、迎え角(流れに対する翼の傾き)の変化として影響する(詳細は乱気流の項を参照)。なお大型機のパイロットはこの用語は用いず、乱気流やウインドシアということばを使用している。

[中山 章]

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百科事典マイペディア 「エアポケット」の意味・わかりやすい解説

エアポケット

飛行中の航空機が急激に高度を落とす原因に対してつけられた名だが,不適切な用語。正しくは鋭角突風,または鉛直ドラフト。高度を失うのは大気中の局地的な下降気流によって翼の空気に対する角度が急に減少し,揚力が低下するため。大気中に穴のように空気の希薄なところがあるためと考えられ,この名が生まれた。

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世界大百科事典(旧版)内のエアポケットの言及

【航空気象】より

…また深い気圧の谷に沿ったジェット気流域でも起こりやすい。エアポケットair pocket大気中で気流の変化により下向きの気流を生じている現象をいう。航空機がこのような所にはいると急激に高度が下がる。…

※「エアポケット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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