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エピステーメー エピステーメー 〈ギリシャ〉epistēmē

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デジタル大辞泉の解説

エピステーメー(〈ギリシャ〉epistēmē)

知識。ドクサ(臆見(おっけん)。根拠のない主観的信念)に対して、学問的に得られる知識。
フランスの哲学者フーコーの用語。各時代の基盤にある、知の総体的な枠組み

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世界大百科事典 第2版の解説

エピステーメー【epistēmē】

ラテン語のスキエンティアscientia(英語のscienceの語源)にあたるギリシア語。もともとは〈ドクサdoxa〉つまり蓋然的な見解と対立し,とくにプラトンにおいて真実在に対する学問的で厳密な知を意味した。現代哲学においては,フランス構造主義とりわけM.フーコーによって新しい意味を与えられた。すなわちそれは,ある時代において多様な諸学問を横切って言述のレベルで見いだされる連関の総体のことである。

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大辞林 第三版の解説

エピステーメー【epistēmē】

〘哲〙 プラトン・アリストテレスが、単なる感覚的知覚や日常的意見であるドクサ(=憶見)に対立させて、確かな理性的認識をさして呼んだ語。
フーコーの用語。各時代に固有のものの考え方の枠組み。思考の台座。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エピステーメー
えぴすてーめー
epistmギリシア語

「知識」という意味をもつギリシア語。古代の哲学においてこの語は、主にドクサ(根拠のない主観的信念)に対立するものとして、根拠ある知識、真なる知識を指し示していた。フランスの哲学者ミシェルフーコーは、とりわけ1960年代の著作において、この語に新たな意味を与えつつ使用する。彼の定義によれば、エピステーメーとは、ある特定の時代のさまざまな科学的言説のあいだに見いだされる諸関係の総体のことである。それは、閉じられたシステムではなく、くみ尽くすことのできぬ領野を開くものであり、不動の形象ではなく、切断やずれや一致から成る可動的な総体を構成するものであり、諸科学の成立を妨げるのではなく、それを可能にするものである。また、諸科学の権利にかかわるのではなく、諸科学が存在するという事実にかかわるものである。
 エピステーメーという語のこうした使用に含意されているのは、科学の歴史を、言説そのもののレベル、実際に語られたことそのもののレベルにとどまりながら記述しようとするフーコーの態度である。したがって、エピステーメーは、言説とは別のレベルにある主体や精神などを指示するものとしての、認識の形式や合理性の類型などとは区別されなければならない。この語がとりわけ頻繁に使用されるのは、『言葉と物』Les mots et les choses(1966)においてである。そこでは、「表象」の自律性のもとに博物学、一般文法、富の分析を可能にしていた17、18世紀のエピステーメーから、生命、言語、労働に関する諸科学および人間に関する経験的探求の出現をもたらした近代のエピステーメーへの変化が分析されている。
 70年代になって、フーコーにおける分析の対象領域が言説的な領域から非言説的な領域へと移行するとともに、エピステーメーという語は次第に使用されなくなり、かわって、より一般性をもつ概念としての「装置dispositif」が用いられることになる。すなわちエピステーメーは、「装置」のうちで特に言説のみにかかわるもののことであるとされるようになるのである。[慎改康之]
『ミシェル・フーコー著、渡辺一民・佐々木明訳『言葉と物』(1974・新潮社) ▽ミシェル・フーコー著、中村雄二郎訳『知の考古学』(1995・河出書房新社) ▽ミシェル・フーコー著、蓮實重彦・渡辺守章監修、小林康夫・石田英敬ほか訳『ミシェル・フーコー思考集成』全10巻(1998~2002・筑摩書房)』

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世界大百科事典内のエピステーメーの言及

【自然法】より

…プラトン,アリストテレス以来の伝統では,同じ理性認識にも二つの様態が区別される。一つは意識化し概念化しての認識(事物をその根拠から説明する学知的認識(エピステーメーepistēmē)や,その説明がつたなく漠たるものである臆見(ドクサdoxa))であり,他は意識化・概念化以前に事物の本質的核心を洞見している本性適合的なconnatural認識(ヌースnousの洞見)である。自然法についても,その自然法〈論〉的・概念化的認識と,あらゆる人間が自己の存在のうちで本性の法則そのものに支えられて主体的に理屈抜きに洞察している自然法の諸基本原則への本性適合的認識とが区別される。…

【構造主義】より


[認識論的断絶]
 それを明確にしたのがフーコーである。彼は近代西欧の人間諸科学の成立の歴史のうちに,それらを一定の型の認識のしかたとして出現させた〈認識論的台座(エピステーメー)〉を探り出し,そうすることで近代理性主義によっては思考されない無意識的領野(実定性の領域)を画定し,これを〈言説(ディスクール)実践のシステム〉として解明した。それは,近代哲学が前提する個人の表現活動や超越的主観の理性活動とは異なる〈匿名的で歴史的で時空的に決定されてある〉もので,人間が世界について語り出すさまざまなしかた(言説編成)の諸規則の総体であり,世界はこの〈意識〉とも〈客観的実在〉ともちがう〈言説システム〉において姿を現すのである。…

【自然法】より

…プラトン,アリストテレス以来の伝統では,同じ理性認識にも二つの様態が区別される。一つは意識化し概念化しての認識(事物をその根拠から説明する学知的認識(エピステーメーepistēmē)や,その説明がつたなく漠たるものである臆見(ドクサdoxa))であり,他は意識化・概念化以前に事物の本質的核心を洞見している本性適合的なconnatural認識(ヌースnousの洞見)である。自然法についても,その自然法〈論〉的・概念化的認識と,あらゆる人間が自己の存在のうちで本性の法則そのものに支えられて主体的に理屈抜きに洞察している自然法の諸基本原則への本性適合的認識とが区別される。…

【認識論】より

…知識の本質,起源,根拠,限界などについての哲学的な研究または理論をいう。〈認識論〉と訳される英語,フランス語は,ギリシア語のエピステーメーepistēmē(知識,認識)とロゴスlogos(理論)を結びつけて作られたもの。これらの言葉が広く用いられるようになったのは19世紀も半ば以後のことであるが,知識をめぐる哲学的考察の起源はもちろんそれよりもはるかに古く,たとえば古典期ギリシアにおいてソフィストたちの説いた相対主義の真理観にはすでにかなり進んだ認識論的考察が含まれていたし,ソクラテスもまたその対話活動のなかで,大いに知識の本質や知識獲得の方法につき論じた。…

※「エピステーメー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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