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オウィディウス オウィディウス Ovidius Naso, Publius

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オウィディウス
オウィディウス
Ovidius Naso, Publius

[生]前43.3.20. 中部イタリア,スルモ
[没]後18. トミス
ローマの詩人。恋愛エレゲイア最後の詩人。『恋さまざまAmores (5巻,前 20) や『名婦の書簡』 Heroidesが平和と繁栄のさなかのローマの上流社会に受けて一躍時代の寵児となったが,『愛の技術』 Ars amatoria (3巻,前1) などがアウグスツス帝の綱紀粛正政策に合わず,『愛の治療』 Remedia amorisとか,もっとまじめな『変形譚』 Metamorphoses (8頃完成) ,『祭暦』 Fasti (未完) の執筆にもかかわらず,8年黒海沿岸の僻地トミスに追放された。

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デジタル大辞泉の解説

オウィディウス(Publius Ovidius Naso)

[前43~後18ころ]古代ローマの詩人。官能的で優雅な叙情詩愛の技術」で名をなした。ほかに神話に材をとった物語詩「メタモルフォセス」や「祭暦」「悲歌」など。

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百科事典マイペディアの解説

オウィディウス

ローマの詩人。恋愛エレゲイア詩(エレジー)の完成者。恋の道を歌う名人として帝政初期の平和なローマの社交界の寵児(ちょうじ)になった。紀元8年アウグストゥスによって黒海沿岸のトミス(現,ルーマニアコンスタンツァ)に追放され,終生帰国を許されなかった。
→関連項目クレティアン・ド・トロア亡命文学

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世界大百科事典 第2版の解説

オウィディウス【Publius Ovidius Naso】

前43‐後17
古代ローマの詩人。中部イタリアのスルモ(現,スルモナ)の生れ。ローマで学び,アテナイに留学して政治家になるための素養を身につけ,雄弁の才は抜群であったが,詩的天分を自覚して詩人になった。文学サロンで初めて自作を朗読したときから好評で,たちまち社交界の寵児になり,次々に新作を発表した。 最初の詩集《恋の歌》3巻は,さまざまなテーマの詩から成るが,中心はティブルスプロペルティウスから継承した恋愛エレゲイア詩で,コリンナに対する彼の恋を歌ったものが多い。

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大辞林 第三版の解説

オウィディウス【Publius Ovidius Naso】

前43~後17) 帝政ローマ初期の詩人。「恋の技法」や、後世の文学・美術に大きな影響を与え、ギリシャ・ローマ神話の宝庫とも言うべき叙事詩「メタモルフォセス(転身物語)」、哀傷にみちた「悲歌」「黒海からのたより」などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オウィディウス
おうぃでぃうす
Publius Ovidius Naso
(前43―後18)

古代ローマの詩人。中部イタリアの町スルモ(現スルモナ)の富裕な騎士階級の家に生まれる。カエサルが暗殺された翌年である。一つ違いの兄とともに修学のために早くからローマに送られ、法律や修辞学を学んだ。このころのローマはすでにアウグストゥス天下統一によって苦しい内乱の時代を終え、未曽有(みぞう)の平和と繁栄を迎えようとしていた。彼はここで当代の優れた修辞学者たちについて学んだが、とりわけ、華麗な技巧をもって聞こえるアジアニズム派の代表者アウレリウス・フスクスから少なからぬ影響を受けた。彼の詩作の天分はすでに著しく、後年の述懐によれば、議会や法廷向きの演説を書こうとしても、「ことばはひとりでに詩になった」という。しかし、息子に世間並みの出世の夢を託する父の期待を裏切るわけにもいかず(勤勉な兄は若くして他界した)、勉学のコースを完成するためさらにアテネに留学したが、その帰途、若い詩人アエミリウス・マケルとともに小アジアからシチリア島にかけて長途の旅を試みた。
 帰国後、予定どおり法曹の道に進み、一、二の公職にもついたが、このような堅苦しい職業はもとより肌にあわず、早くから当時の有力な文芸のパトロン、メッサラ・コルウィヌスを中心とする詩人たちのサークルに加わり、その指導的地位にあったティブルスをはじめ多くの若い詩人たちと交わり、華やかな社交界にも出入りした。彼の詩作活動はまず、当時流行のエレゲイア調恋愛詩の分野で華々しく開花し、架空の恋人コリンナに寄せる恋情を軽妙に歌った『恋の歌』Amoresが出世作となった。ついで、神話伝説で名高いヒロインたちが恋人や夫にあてた手紙という奇抜な趣向で、女性の恋愛心理を巧みに描いた『名婦の書簡』Heroidesで人気を博した。しかしその後に書かれ、彼の恋愛詩の代表作となった『アルス・アマトリア』(愛の技術)は彼の名声を高めると同時に、風俗紊乱(びんらん)の書として一部のひんしゅくを買うことにもなった。このジャンルの作としてはほかに『女の化粧法』De Medicamine Faciei Femineae(一部のみ残存)、前記『アルス・アマトリア』の解毒剤的続編『愛の療法』Remedia Amorisがある。
 その後、恋愛詩と決別した詩人は長編の物語詩の制作に意欲を燃やし、大作『転身譜』Metamorphoses15巻をほぼ完成、さらにアウグストゥス帝に献呈の予定で、ローマの古伝承や宗教的行事を題材とした『祭暦』Fastiを制作中の紀元後8年、突然その皇帝から黒海沿岸のトミス(現ルーマニアのコンスタンツァ)へ追放を命じられた。首都ローマでの華やかな社交と安楽に浸ってきた詩人にとって、追放地での生活はこのうえもなく悲惨であった。しかし、幾度となく繰り返された愁訴嘆願もかいなく、10年をこの地で過ごして没した。この間に書かれたものでは、故国の知己や有力者にあてた『嘆きの歌』Tristia、『黒海便り』Ex Pontoなどが伝存し、詩人の生伝を知るうえでも貴重な資料となっている。[松本克己]
『オウィディウス著『転身物語』(1981・人文書院) ▽オウィディウス著『恋の技法』(1995・平凡社) ▽オウィディウス著『悲しみの歌/黒海からの手紙』(1998・京都大学学術出版会) ▽オウィディウス著『変身物語』上下巻(岩波文庫)』

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世界大百科事典内のオウィディウスの言及

【アルス・アマトリア】より

…ローマの詩人オウィディウスによって西暦元年ころ作られた作品で〈恋愛術〉を意味する。エレゲイアの詩形による3巻,計2330行から成り立ち,最初の2巻は男性を対象として書かれ,その反響にこたえて第3巻が女性に向けて書かれた。…

【ギリシア神話】より

…先述の経緯で,ローマの作家も資料として無視しえない。ウェルギリウス,ホラティウスの作品,とくに,オウィディウスの《転身物語》はローマ的変質も大きいが,後に及ぼした影響も大きい。また中世ビザンティン時代の学者によりなされた,古代の書物の要約,抜粋も重要な資料となる。…

【星座】より

…さらに下って2世紀に活躍した天文学者プトレマイオスはその著作《アルマゲスト》の第7,第8の2巻を星表とし,ここに48星座を記録している。またローマの詩人オウィディウスは叙事詩《転身物語》でギリシア神話の神々や英雄の物語を述べているが,今日語りつがれている星座の神話はこの著作に負うところが多い。 《アルマゲスト》のギリシア語写本はイスラム文化圏に渡り,9世紀にアラビア語への翻訳が行われ,このアラビア語版が中世世界に流布した。…

【転身物語】より

…ローマの恋愛詩人オウィディウスが残した唯一の叙事詩。全15巻。…

【農事暦】より

…ローマの農業論は大カトー,ウァロなどの詳記するところとなっているが,農事暦そのものを枠組みにした文学作品は伝わっていない。ウェルギリウスの《農耕詩》には暦についてはわずかな言及が含まれているにすぎず,オウィディウスの《祭暦》も神話,伝説の宝庫ではあるものの農事とはかかわりが薄い。【久保 正彰】
[近世]
 ヨーロッパの農事暦は地理上の位置の南・北,農耕・牧畜地域の相違などでかなり異なるが,以下,16世紀ごろまでのイングランドを中心にその概略を記す。…

【ヒュギヌス】より

…だが,死後も学者としてその名を広く知られ,後2世紀に編まれた天文学事典および神話学事典には編者として彼の名が冠せられた。詩人オウィディウスとは友人の関係にあり,オウィディウスが流刑地での作品《悲歌》第3巻14歌で呼びかけているのはこのヒュギヌスであると考えられている。【三浦 尤三】。…

【ラテン文学】より

…失恋は彼自身の体験であるかもしれないが,それ以上に喜劇の要素を取り入れた恋愛詩のしきたりなのである。 この点は最後の恋愛詩人オウィディウスに至って明瞭になる。彼は体験ではなく,知識と想像力と修辞によって恋愛詩を書いた。…

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