改訂新版 世界大百科事典 「オグデン」の意味・わかりやすい解説
オグデン
Charles Kay Ogden
生没年:1889-1957
イギリスの心理学者。ケンブリッジ大学の出身で,卒業後は知的高級雑誌《ケンブリッジ・マガジン》を主宰するとともに,自らも多彩な著述活動を行っていたが,しだいに言語心理に興味を抱き,1923年,批評家I.A.リチャーズとともに《意味の意味The Meaning of Meaning》を著した。これは心理学的手法を応用して,言語行動の構造を解明しようとしたもので,言語行動を成立させる基本的3要素,すなわち,思想(指示),言葉(象徴),事物(指示物)3者の相互作用の精密な分析から,〈意味〉が生成していく過程を見きわめようとする,今日の意味論の先駆をなす研究であった。なかでもオグデンが重視したのは,象徴と指示物の関係(いわゆる記号論でいう記号表現と記号解釈の関係)であり,それはのちに,具体的な言語(英語)において,どのようにしてより効率的な伝達が可能かといった方向へと発展し,30年にはわずか850語からなる新国際共通語ベーシック・イングリッシュを提唱するにいたった。以降彼は,功利主義者J.ベンサムに関する多くの著作を残す一方で,この語の普及のため世界各国を訪問するなど,多くの実践的活動を行っている。
執筆者:渡川 裕
オグデン
Ogden
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報