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オーステナイト austenite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オーステナイト
austenite

純鉄で 911~1392℃の温度範囲で安定な鉄の同素体γ鉄,およびその固溶体をいう。結晶は面心立方晶で軟らかく,粘い。鋼の合金元素の種類により,オーステナイトをつくる組成と温度の領域を広げるものとせばめるものとがあり,前者をオーステナイト生成元素,後者をフェライト生成元素という (→鉄鋼の状態図 ) 。炭素,窒素,ニッケル,マンガンは前者の代表的元素である。炭素鋼では 727℃の A1 変態点 (→鉄鋼の変態 ) 以上で安定で,1147℃で炭素 2.14%までのオーステナイト領域をもっている。このオーステナイトは徐冷するとフェライトパーライトに,急冷すると硬いマルテンサイトになる。マルテンサイト化温度が常温付近にある鋼では,急冷によってオーステナイトが残ることがあり,これを残留オーステナイトという。これをマルテン化するには深冷処理焼戻し,冷間加工などを行う。

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デジタル大辞泉の解説

オーステナイト(austenite)

焼き入れをした鋼の組織名の一。鉄がセ氏910~1400度で結晶形が変化し、立方最密構造となったγ(ガンマ)鉄に、炭素が溶け込んだもの。名は英国の鉄鋼学者オースティン(W=C=R=Austein)にちなむ。

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百科事典マイペディアの解説

オーステナイト

炭素を固溶しているγ鉄。結晶構造は面心立方格子。オーステナイトは高温でのみ安定だが,合金元素の量が多いオーステナイト鋼,ニッケル合金などでは室温以下になってもオーステナイト状態が保持される。
→関連項目セメンタイト耐熱鋼パーライト

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世界大百科事典 第2版の解説

オーステナイト【austenite】

原子配列が図に示すような面心立方格子をなす鉄鋼および合金鋼の固溶体の総称。炭素や窒素などの原子半径の小さい元素は図の黒丸の位置に入り,鉄,ニッケル,マンガンなどは白丸の位置に入る。鉄以外のこれらの合金元素の量が少ないと,オーステナイトは高温でのみ安定で,室温まで冷却される間に種々の状態に変化する。合金元素の量が多い場合,たとえばオーステナイト鋼,ニッケル合金などでは,オーステナイト状態は室温以下でも保持される。

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大辞林 第三版の解説

オーステナイト【austenite】

鉄鋼の組織名の一。 γ 鉄(鉄の同素体の一。摂氏900~1400度で安定)に炭素などが溶け込んだ固溶体、または状態。高温で強度が高く、低温でももろくなりにくい。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オーステナイト
おーすてないと
austenite

鉄鋼の組織の名称。純鉄は常温では体心立方晶(α(アルファ)鉄)であるが、910℃で結晶形が変わって面心立方晶(γ(ガンマ)鉄)となる。オーステナイトとはγ鉄に鉄以外の元素が溶け込んだ固溶体のことで、イギリスの鉄鋼学者オースティンW. R. Austenを記念したもの。オーステナイト系ステンレスは、多量のニッケルとクロムを加えて、面心立方晶から体心立方晶に変化する温度を低くし、常温でも面心立方晶として、耐食性を向上させた鋼である。また、高マンガン・オーステナイト鋼は、多量のマンガンと炭素を加えた鋼で、常温で面心立方晶であり、摩耗しにくいので、鉄道レールのポイントなどに使われている。[西沢泰二]

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