カウンセラー(読み)かうんせらー(英語表記)counselor

翻訳|counselor

日本大百科全書(ニッポニカ)「カウンセラー」の解説

カウンセラー
かうんせらー
counselor

来談者(クライエントclient。クライアントとよぶ場合もある)との面接や面談などを通して、その内面への治療的therapeutic、予防的preventive、および、進展的developmentalな援助・支援を行う心理臨床的な専門家をさす。

 カウンセラーは、クライエントの生き方を左右するほどの影響を及ぼす存在になる場合もあるので、それにふさわしい心理臨床的な訓練や体験を重ね、技法的にも人間的にも豊かな専門家となるよう望まれる。

 カウンセラーと称されるとき、それが職名としてよばれる場合もあるし、また、身分として随意に名のることもできる状況にあり、今日なお、あいまいさや不明確な部分が残されている。

 カウンセラーを含む心理臨床的な専門家の養成制度は、1990年(平成2)前後以降、急速に整えられてきている。これは、日本臨床心理士資格認定協会によって「臨床心理士」の認定制度が創設(1988)され、その資格を取得するための諸条件が整備されてきたことが大きな促進要因となったと考えられる。この資格認定では、大学院修士課程修了を資格取得要件とし、その課程のなかでカウンセラーなどに求められる専門的カリキュラムなどが明示され、心理臨床的専門家養成の骨格が整えられた。

 カウンセラーに関する資格は、今日、「臨床心理士」以外にも日本カウンセリング学会による「認定カウンセラー」、学校心理士認定運営機構による「学校心理士」、日本産業カウンセラー協会による「産業カウンセラー」などがあるが、いずれもそれぞれの機関・団体などによる認定資格であって、カウンセラーに関する法的な裏づけはまだ確立されていない。

 そのなかで、公的性格をもっとも強く有すると考えられるのが「スクールカウンセラー」であろう。それは、国家的予算措置を背景に文部科学省の施策の一つとしてなされているからであるが、これには「臨床心理士」を中心にしながら、その他の資格保有者(「学校心理士」有資格者など)の心理関係専門家や教育経験者(退職した校長、教員など)がその職務担当者として委嘱されている。1995年度から2000年度(平成12)までは、文部省(現、文部科学省)の活用調査研究事業としてなされていたが、2001年度からは恒常的制度化に向けて五か年計画が策定され、全公立中学校へ「スクールカウンセラー」を配置する措置が講じられて、今日では小学校や高等学校への配置もなされている。

 カウンセラーとよばれる心理臨床的な専門家は、この「スクールカウンセラー」以外にも、厚生・福祉、医療・看護、産業・経営、矯正・司法、防衛(自衛隊)などの分野でも活用されるようになり、他者への心理的な援助・支援活動が幅広く進められてきている。また、近年カウンセラーの活動や業務などに対する関心も一般に広く浸透してきている。

[増田 實]

『C・ギルバート・レン著、小林純一訳『変動する社会のカウンセラー』(1965・エンデルレ書店)』『国分康孝著『カウンセラーのための6章――カウンセリング・マインドの展開』(1991・誠信書房)』『高橋善昭著『カウンセラーになる方法』(1994・星雲社)』『佐治守夫著『カウンセラーの「こころ」』(1996・みすず書房)』『氏原寛・村山正治編著『今なぜスクールカウンセラーなのか』(1998・ミネルヴァ書房)』『金沢吉展著『カウンセラー 専門家としての条件』(1998・誠信書房)』『三木善彦・黒木賢市編著『カウンセラーの仕事』(1999・朱鷺書房)』『伊藤友八郎著『カウンセラー入門ハンドブック』(1999・オーエス出版)』『法学書院編・刊『産業カウンセラーのすべてがわかる本』(1999)』『森田明子著『きいて、聴いて!スクール・カウンセラーの日々』(2001・明石書店)』『伊藤美奈子著『スクールカウンセラーの仕事』(2002・岩波書店)』『日本カウンセリング学会編『認定カウンセラーの資格と仕事』(2006・金子書房)』『日本臨床心理士資格認定協会編『臨床心理士の歩みと展望』(2008・誠信書房)』『日本臨床心理士資格認定協会編『新・臨床心理士になるために』各年版(誠信書房)』

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百科事典マイペディア「カウンセラー」の解説

カウンセラー

個人の生活適応上の問題について個別的に指導助言(カウンセリング)する専門相談員。臨床心理学の技法を用いて問題状況の分析や本人自身の自己理解を助け,自己指導力を高めることを任務とする。学校ではガイダンスの専門職員としてこれを置く傾向にあり,また成人を対象に職場などでも採用している。→臨床心理士
→関連項目買物依存症観察課程スクールカウンセラー

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精選版 日本国語大辞典「カウンセラー」の解説

カウンセラー

〘名〙 (counselor) カウンセリングを職務とする者。心理学的な教養と技術が必要とされる。

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世界大百科事典内のカウンセラーの言及

【カウンセリング】より

…その過程において,それは個人の可能性を開発していくことができることが明らかとなってきたので,カウンセリングは,単なる相談の域を越えて,人間の自己実現の可能性をひき出していく方法として重要視されるようになった。カウンセリングにおいて,悩みや問題をもって来談する人をクライアントclient,それに応じる人をカウンセラーcounselorと呼ぶが,カウンセラーとクライアントの人間関係のあり方が,クライアントの自己実現傾向を促進することが認められ,それについての研究が盛んとなった。 カウンセリングは簡単な知識や情報を得るために1回だけの面接が行われるものから,上記のようなクライアントの自己実現にかかわって長期間に及ぶものまであるわけだが,狭義には,後者のものだけをカウンセリングと呼び,専門的な訓練を受けた者が担当すべきであると考える人もある。…

※「カウンセラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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