カビ(黴)(読み)カビ

百科事典マイペディア 「カビ(黴)」の意味・わかりやすい解説

カビ(黴)【カビ】

菌類の中で本体である菌糸の集りが著しく目だち,繁殖器官の子実体が微小であるか,これを欠くものをいう。外見に基づく一般的呼称で,分類学的には厳密にしえない。鞭毛菌類(ミズカビ等),接合菌類ケカビ等),子嚢菌類アオカビ等),不完全菌類(ミズムシキン等)など,菌類の主要分類群すべてに見られ,淡・海水中,空中,地中動植物体上など,いたるところに生じる。栄養の取り方で寄生と腐生に分かれるが,前者はモチビョウキン,ウドンコ病菌,ミズムシキン,タムシキンなどの動植物の病原菌類で,それ以外のほとんどは生きた有機物を必要としない腐生菌である。菌糸は集まって菌叢(きんそう)をつくり,糸状,綿状,クモの巣状などとなり,つくり出す色素により赤,紫,黄,青,緑色などを呈する。生長が速く,その適温は15〜20℃で,湿度が高く高温の梅雨期などには著しく目だつ。カビの有機物分解力は自然界の浄化に役だち,また各種カビの特性を利用して食品や薬品などの製造工業に多用するが,有毒成分をもつカビが食品などに繁殖して有機物を腐敗させたり,人体や栽培植物に寄生してこれらを冒すなどの害も少なくない。カビを防ぐためには,種々の手段による殺菌のほか,乾燥を保つことが重要である。
→関連項目植物菌類病真菌

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android