アスペルギルス症(読み)あすぺるぎるすしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスペルギルス症」の意味・わかりやすい解説

アスペルギルス症
あすぺるぎるすしょう

自然界に雑菌として繁殖する真菌(カビ)の一種アスペルギルス・フミガーツスAspergillus fumigatusなどによっておこる化膿(かのう)性壊死(えし)性あるいは肉芽腫(にくがしゅ)性の病変。肺、気管支胸腔(きょうくう)、目、副鼻腔、外耳にみられるほか、敗血症になって全身に広がることもある。白血病や腫瘍(しゅよう)の末期、あるいはステロイドホルモン剤の使用に際しておこりやすい。肺結核などの治癒後に残った空洞中に、球形に発育した病巣がX線写真で認められたり、喀痰(かくたん)中に菌の塊が喀出されることがある。膿胸(のうきょう)の胸膜面に扁平(へんぺい)に発育した菌塊が、ちぎれて膿中に排出されることもある。

 治療にはアムホテリシンB、イトラコナゾール、ミカファンギン、ボリコナゾールが有効であるが、前述の重篤疾患に併発した病型では急速に全身に広がりやすく診断がまにあわないことが多い。

[福嶋孝吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスペルギルス症」の意味・わかりやすい解説

アスペルギルス症
アスペルギルスしょう
aspergillosis

真菌 (かび) の一種であるアスペルギルス,特にアスペルギルス・フミガーツス Aspergillus fumigatus感染によって起る疾患。化膿性で組織の壊死を伴うことが多い。他の真菌症と同じく抗生物質ステロイド剤などの使用が多くなるにつれて増加してきた。肺や消化管が好発部位であるが,血行性に全身に広がることもある。

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