カラーフィルム
colour film
カラー写真を撮影,製作するフィルムで,現在普及している発色現像による多層式カラーフィルムは,1935年イーストマン・コダック社が発表したコダクローム・フィルムから始る。撮影用カラーフィルムはベースの最下層から上方にハレーション防止,赤感性シアン発色乳剤,緑感性マゼンタ発色乳剤,黄色フィルタ,青感性黄色発色乳剤,保護膜などの層が重ねて塗布されており,多いものでは 15層にもなっている。全層の厚さは,黒白フィルムと大差のない 13~25μmで,各乳剤の塗布に,厚さ5%の誤差があっても色調のバランスはくずれる。発色現像で,銀画像とともに被写体に対応する色素画像をつくり,続く漂白,定着によって銀画像は除かれる。カラーリバーサルフィルムとカラーネガフィルムがあり,前者は透明陽画用で,撮影光に適するデーライトタイプ,タングステンタイプ,また発色剤 (カプラー) を乳剤中に入れる内式と,現像液中に添加する外式がある。カラーネガはカラー印画紙と同じくすべて内式である。フィルムサイズは黒白フィルムと同様の各種がある。撮影用カラーフィルム以外に,プリント用のカラーポジフィルムもある。
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「カラーフィルム」の意味・わかりやすい解説
カラーフィルム
被写体の明暗を再現するモノクロフィルムに対して,明暗だけでなく色彩も再現するフィルム。カラーネガフィルム,カラーリバーサルフィルムなどがあり,撮影時の光源の違いに対応して,デーライトタイプ,タングステンタイプがある。イエロー,マゼンタ,シアンの3層の写真乳剤層からなる。ネガフィルムの場合は被写体と明暗が逆,色再現は補色となり,プリントの際に明暗・色彩が被写体と同一になる。リバーサルフィルムは,現像処理したフィルムが明暗・色再現ともに被写体と同一になる。
→関連項目カラー印画紙|カラー写真
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デジタル大辞泉
「カラーフィルム」の意味・読み・例文・類語
カラー‐フィルム(color film)
被写体の色彩を再現できる写真用フィルム。青緑・緑・赤の3色に発色する3層の感光乳剤が塗布してあり、その合成で天然に近い色感を出す方式が普通。そのままの色に写るカラーリバーサルフィルムと、補色に写るカラーネガフィルムとがある。
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カラー‐フィルム
〘名〙 (colour film) 被写体の色に対応した色の発色する
写真フィルム。被写体の色そのままに写る
ポジフィルムと、補色に写るネガフィルムとがある。
天然色フィルム。〔モダン用語辞典(1930)〕
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カラーフィルム【color film】
被写体の色と明暗の調子を記録する感光フィルムで,ふつう発色現像方式による多層構成の減色法カラーフィルムが用いられている。カラーフィルムには,ネガ像が得られるカラーネガフィルムと,直接ポジ像が得られるカラー反転フィルムとがある。カラーネガフィルムでは,被写体と明暗が逆で補色となっている色彩像が得られるので,これをカラーペーパーあるいはカラーポジフィルム(主として映画用)に焼付け反転して,被写体と同じ色で同じ明暗の調子をもつポジ像を再現する。
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世界大百科事典内のカラーフィルムの言及
【カラー映画】より
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[初期のカラー映画]
スクリーンに〈色〉や〈音〉を加えたいというのは,映画が生まれて以来の人々の願望であり,はやくからそのための努力と試みが繰り返された。カラー映画color filmと呼ばれるものには,技術的に大別すれば,白黒の画面に着色した〈彩色映画〉と,写真技術によって被写体そのままの色を再現した〈天然色映画〉がある。〈彩色映画〉には,染料でポジティブの一部分あるいは全体を染色tintingする方法と,ポジティブの画像を調色toningする方法がある。…
※「カラーフィルム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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