(1)加法混色に基づく補色、(2)減法混色に基づく補色、(3)残像に基づく補色(残像補色)、(4)対比に基づく補色(対比補色)に分類される。
加法混色によって特定の無彩色をつくることができる(等色できる)二つの色光の色を互いに補色であるという。ここで、加法混色とは、色の異なる複数の色光を均一に混合して観察すると、元のいずれとも異なる色が知覚される現象のことである。たとえば、波長がそれぞれ、490、600ナノメートルの二つの単色光(それぞれ、鮮やかな青緑系の色、鮮やかな赤みオレンジ系の色に見える)を適当な比率で混合すると、等エネルギー白色(可視波長の全域で放射量の分光密度が一定である放射によって知覚される白色)とよばれる無彩色を等色できる。特定の無彩色として等エネルギー白色を選択すると、この場合の二つの単色光は互いに補色である。
特定の無彩色と、互いに補色である二つの色光は、xy色度図上で簡単な関係にある( 参照)。xy色度図には、「色の異なる二つの色光の加法混色で生じる色は、色度図上で元の色光を表す二つの色度点を結ぶ線分上で、それら二つの色度点の間に色度座標をもつ」という特性がある。 における点Eは等エネルギー白色を表す。等エネルギー白色を特定の無彩とすると、加法混色に基づく補色の定義により、点Eを通る任意の線分PQ上で、点Eを挟んで両側にある任意の色度点C1、C2に対応する二つの色は互いに補色である。線分PQ上には点Eを挟んで多くの補色の対(補色対)が存在し、同様に、点Eを通る他の任意の線分上にも多くの補色対が存在する。したがって、補色対は無数に存在する。結局、互いに補色である二つの色光はそれらの分光分布(波長λに対する分光密度の分布)のいかんにかかわらず、混合比を適当に選ぶことにより、等エネルギー白色をかならず等色できる。
また、
の破線で示すように、点Eを通り両端がスペクトル軌跡に至る線分P'Q'を描くことにより、等エネルギー白色を等色できる単色光の補色対をみいだすことができる。このような単色光の波長の対λ1、λ2を補色波長対とよぶ。ここでλ1、λ2はそれぞれ点P'、Q'に対応する単色光の波長を表す。 の破線は前記の加法混色の例における二つの単色光の波長490(=λ1)、600(=λ2)ナノメートルが補色波長対であることを示す。補色波長対は多数存在するが、単色光は純紫軌跡上に色度点をもたないため、無彩色点を通る直線が2点でスペクトル軌跡と交差しない場合は補色波長対が定義できない。補色対、および補色波長対は特定の無彩色の色度点に依存して定まる。たとえば標準イルミナントAによって知覚される白色を特定の無彩色とすると、波長490(=λ1)ナノメートルと補色波長対をなすのは600ナノメートルではなく587.5(=λ'2)ナノメートルである。
における点Aを通る点線によってそのことが確かめられる。ここで、点Aは標準イルミナントA(白熱電球による照明光の標準)の色度点を表す。等エネルギー白色を特定の無彩とする場合と同様に、補色対が無数に存在する。[佐藤雅子]
絵の具やインキ、カラー・フィルムなどにおける混色は、色素などの光を吸収する媒質の重ね合わせによる減法混色に分類される。減法混色では、混色の結果が無彩色(グレーや黒)になる二つの色を互いに減法混色の補色であるという。加法混色と異なり、減法混色では混ぜ合わせる二つの色と混ぜ合わせてできる無彩色との間に色度図上での単純な関係がみいだせない。したがって、減法混色の補色対は加法混色の場合のように単純な方法でみいだすことができない。
[佐藤雅子]
着色した図形をまばたきしないでしばらく(15秒前後)見つめた後、白色の面に目を移すと、白色面上にはいままで見つめていた図形の残像とよばれる像が現れ、しばらくの間持続する。この残像で知覚される色で着色した新たな図形をつくり、それを見つめることによって得られる残像の色は、最初に見つめた着色図形の色に等しいことが実験によって確かめられている。最初に着色図形で見つめた色と、それを見つめたことで得られる残像の色は互いに残像補色の関係にあるといい、このような二つの色を残像補色対とよぶ。残像補色対は加法混色に基づく補色対にほぼ近いが、両者はかならずしも一致しない。
[佐藤雅子]
無彩色面で知覚される色はそれを取り囲む背景の色に依存して変化する。このような色の見えの変化を対比効果とよび、無彩色面で知覚される色は背景の色と対比補色の関係にあるという。対比補色の関係は加法混色に基づく補色の関係に近いが、厳密には一致しない。
[佐藤雅子]
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