ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草。和名ショウズク(小豆蔲)。インドのマラバル地方原産。大きな葉を出して高さ2メートルに茂る。花茎は短く、地際から出て横にはう。インドでは4~7月に開花する。果実は秋に実り、広卵形、灰黄色の蒴果(さくか)で、長さ約2センチメートル、中に3ミリメートルほどの種子が10~20個入っている。インドやスリランカが古くからの産地で、いまは熱帯各地で栽培され、中央アメリカではグアテマラが産地として有名である。
[星川清親 2019年6月18日]
果実を乾燥させ、その中の黒褐色の種子を取り出すと、強い樟脳(しょうのう)に似た芳香と、辛味とほろ苦味がする。これが香辛料のカルダモンである。サフラン、バニラに次ぐ高価な香辛料で、芳香性のある刺激はコーヒーの香味に似るので、デミタスコーヒー、カルダモンコーヒーなどに用いられる。また、スパニッシュメロンにふりかけると秀逸な味となり、カレー粉の主香としても非常に多く使われる。各種のソース、ピクルス、ミートローフ、ペーストリー、アップルパイ、洋酒などにも使われる。
[齋藤 浩 2019年6月18日]
蒴果は小豆蔲(しょうずく)の名称で取引されるが、使用するときは薄い果皮を除去して、中の種子を砕いて用いる。精油を含有しているので砕くと強い芳香と辛味を生じ、健胃、駆風剤として消化不良、胃アトニー、腹痛、下痢などの治療に用いる。ショウガ科の種子はカルダモンと同様に用いられるものが多く、益智(やくち)、縮砂(しゅくしゃ)、草果(そうか)、白豆蔲(びゃくずく)などがある。
[長沢元夫 2019年6月18日]
ショウガ科の多年草。ショウズク(小豆蒄)ともいう。インド南部マラバル地方の原産で,種子を香気料とし,南インド,スリランカ,マレーシア,グアテマラに栽培が多い。カンナに似た草姿で,地下に肥厚して木質化した地下茎がある。数本ないし数十本の葉鞘(ようしよう)がまき重なった偽茎が立ち,次々と葉を出して高さ3mになる。葉は披針形で,長さ30~100cm,幅7.5~15cm。地下茎から長さ60~90cmの花茎を出し,円錐花序にショウガに似た白色の花をつける。花序の各段には花を2~3個ずつつける。唇弁は周辺が黄色で紫色の筋があり,先端が3裂する。果実は長さ2cmほどの長楕円形で3稜があり,内部は3室に分かれて,黒褐色で不規則な稜角のある3mmほどの種子が14~17個ある。完熟前のまだ果皮が開いて種子が散ってしまわないうちに,果実を摘みとる。水洗いし,硫黄で漂白したのち日干しする。種子はショウノウに似たするどい芳香をもち,カレー原料として不可欠である。ソースや肉製品にもスパイスとして用い,粉にひいて菓子や洋酒の香味づけにする。インドでは食後に口中をさわやかにするために種子をかむ。コーヒーに入れて香りを楽しむほか,インドやサウジアラビアなどイスラム圏では媚薬(びやく)としても用いるし,健胃剤にもなる。繁殖は地下茎の株分けか種子による。ショウガ科のビャクズク(白豆蒄)Amomum kepulaga Sp.et Burk.もスパイスとして使われ,英名も同じcardamonなので,しばしば本種と混同される。また近縁のシュクシャ(縮砂)A.xanthioides Wall.は漢方薬に用いる。
執筆者:星川 清親
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