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カルビニズム カルビニズムCalvinism

翻訳|Calvinism

百科事典マイペディアの解説

カルビニズム

カルバンおよびその影響下に形成された改革派教会の教説と思想の総体。厳格な預定説や契約思想,尖鋭な政治志向(共和主義,人権思想など)を指標として語られることが多い。
→関連項目会衆派教会個人主義長老派教会ピューリタンプロテスタンティズム

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世界大百科事典 第2版の解説

カルビニズム【Calvinism】

広義においてはカルバンの思想,あるいはカルバンの影響を受けた思想を意味し,したがって改革派教会の信仰と思想をさすが,しばしば狭義において17世紀に特にイギリスで厳格な〈預定論〉を奉じた神学思想をいう。すなわちアルミニウス主義の反対概念である。さらに19世紀末以後オランダのコイペルAbraham Kuyper(1837‐1920)が首唱したネオ・カルビニズムはカルビニズムを世界観として政治と学問の全領域に適用しようとする。

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大辞林 第三版の解説

カルビニズム【Calvinism】

カルバンに発する思想。神の絶対と信仰による義認・予定説を説く。改革派教会の神学思想で、オランダ・イギリス・アメリカなどの教会形成に影響を与えた。カルバン主義。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カルビニズム
かるびにずむ
Calvinism

宗教改革者カルバン(1509―64)の神学から出発し、発展していったプロテスタントの思想。ルターに発する教会的伝統はルター派と総称されるが、カルバンの名を公に付する教会は実際問題として存在しない。しかしカルバンの宗教思想は広く深い伝統を形成することになった。第二世代の宗教改革者としてのカルバンは、第一世代のルターやツウィングリから多くを学び、基本的には「信仰のみ」「聖書のみ」の二大原理においては合致するが、なおカルビニズムの特色を求めようとする努力も理由がないわけではない。
 多くの場合、カルバン神学の中心教義は何かという形で論じられる。カルバンのジュネーブにおける直接の後継者T・ベサを含めて、これを予定論、すなわち、ある者は救いに、ある者は滅びに予定されているという主張にこれを求めることが少なくない。他方、カルバンの著述の多くが「ただ神にのみ栄光あれ」Soli Deo Gloriaという賛辞で終わることに暗示されるように、中心教義を「神の主権性」とみる立場も説得力があることになる。あるいは、ルターとの対比で、聖書本文に密着するカルバンの姿勢から、忠実な聖書主義を数えることも可能であり、さらには『旧約聖書』『新約聖書』の等しい位置づけから、それを一貫する神の契約という理念を中心に据えても誤りではないであろう。いずれにしても、前述の二大原理の具体的表出にほかならない。
 カルビニズムは地理的伸張と時代の移行に応じて、強調点にもいくつかの相違がみられる。すでにベサとその周辺に始まるプロテスタント正統主義は、フランスのユグノー派やオランダの改革派へと波及してアルミニウス論争に至り、1618~19年のドルドレヒト宗教会議でようやく決着をみた。
 他方、ライン川沿いのファルツ(プファルツ)侯国の改革派教会では、「ハイデルベルク信仰問答」の執筆者オレビアヌスおよびウルジヌスらに始まって、カルバンのなかの契約思想に注目する傾向が、17世紀に入るとオランダのコッツェーユスにおいて契約神学Fderaltheologieとして開花、定着した。そこから生まれた「救済史」Heilsgeschichteの概念は、現代に至るまで広い支配的影響力をもっている。同じ17世紀のカルビニズムでも、アングロ・サクソンの地では新大陸を含めて、生活全体の聖化を目ざす清教徒主義(ピューリタニズムPuritanism)の形をとり、個人の生のみでなく国家・社会全体にまで広げられるとき、しばしば国家権力や社会の要求と対立し、激しい衝突を生み、清教徒(ピューリタン)革命にまで至る。
 近代西欧世界の形成に深くかかわり、ついにはそのなかに埋没したかにみえたカルビニズムを救い出し、原初の姿に戻すことを企図したA・カイパーらの新カルビニズム運動は、今日のカルバン研究の隆盛を招く一因ともなった。またK・バルトらの弁証法神学も広くみればカルビニズム復興の努力といえるであろう。[出村 彰]
『John T. McNeill The History and Character of Calvinism (1954, Oxford University Press, New York)』

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世界大百科事典内のカルビニズムの言及

【個人主義】より

…そしてついに,内外の区別が消失し,一つとなった世界が個人を至上とする価値によって支配されるようになる。この到達点を象徴するのはカルビニズムの神学思想である。なぜなら,カルビニズムにおいては,この世外的な僧院での禁欲の価値は否定され,この世内の世俗的な営みへの没頭が,神の栄光を増すただ一つの方法である,とされるにいたったからである。…

【宗教改革】より

…プロテスタントの主権者がその領域内の教会財産・修道院領を接収し,教会統治権を掌握する,このような国教会体制は,ドイツのほか,ルター主義を受け入れた北欧の諸王国においても実現された。
[カルビニズムの登場]
 アウクスブルクの宗教和議とほぼ同じころ,スイスのジュネーブでは,カルバンによる宗教改革が最終的に勝利していた。人文主義者として出発し,ルフェーブル・デタープルらの福音的ヒューマニズムの影響下に信仰を形成したカルバンは,1530年代に本格化したフランス王権による福音主義への弾圧を前にスイスへ亡命し,《キリスト教綱要》(1536)いらいプロテスタンティズムの第2世代を指導する地位へと押し上げられた。…

【プロテスタンティズム】より

… プロテスタンティズムは西洋近代の成立と発展とに歩みを同じくしているので,近代世界と深い関係をもったことは当然である。近代資本主義成立にかかわるプロテスタンティズムとくにカルビニズムないしピューリタニズムの倫理の役割を強調したM.ウェーバーの《プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神》は有名である。また神の前に立つ良心的人格の確立は,近代の個人主義的傾向に大きな影響を及ぼしている。…

※「カルビニズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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