アメリカの化学者・生化学者。ミネソタ州セント・ポールでロシア移民の子として生まれる。ミシガン鉱山技術大学卒業後、1935年ミネソタ大学で化学の学位を受け、その後マンチェスター大学に留学した。カリフォルニア大学バークリー校で講師になり、のちにローレンス放射線研究所の生物有機化学部門の主任、同大学化学生物科学研究所長などを歴任した。最初は有機化学を研究していたが、1946年以後、放射性同位元素14Cを含んだ二酸化炭素を緑色植物に吸収させ、生合成された種々の化学物質の時間的変化を解析し、光合成における炭水化物を生合成する回路的経路、いわゆるカルビン回路を発見、1961年ノーベル化学賞を受賞した。その後は植物による燃料生産、化学進化、化学発癌(はつがん)など広範な分野にわたって研究を進めた。
[宇佐美正一郎・宇佐美論]
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アメリカの生化学者.ロシアからの移民の子.1931年ミシガン鉱業技術カレッジ卒業後,1935年ミネソタ大学で化学でPh.D.を取得.ミネソタ大学ではハロゲン類の電子親和力を研究したが,1935~1937年イギリス・マンチェスター大学のM. Polanyi(1891~1976年)のもとで学び,配位化合物の触媒作用,とりわけ金属ポルフィリンに興味を抱いた.1937年カリフォルニア大学バークレー校講師,1947年同大学教授となる.有機化合物の構造や挙動の理論的研究に興味を転じ,第二次世界大戦後は同位元素 14C を用い,二酸化炭素から炭水化物が生じる光合成の過程(カルビンサイクル)を明らかにした.同研究で,1961年ノーベル化学賞を受賞した.
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