ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギルマン」の意味・わかりやすい解説
ギルマン
Guillemin, Roger Charles Louis
フランス生まれのアメリカ合衆国の生理学者。フランスのディジョンとリヨン,カナダのモントリオールの大学で学んだのち,1953~70年アメリカのベイラー医科大学で教鞭をとった。この間の 1960~63年コレージュ・ド・フランスの実験内分泌学部門副部長を務めた。1963年にアメリカ市民権を取得。1970年カリフォルニア州ラホヤのソーク生物学研究所教授に就任,1971年からはカリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授を兼任した。ベイラー医科大学ではイギリスの解剖学者 G.W.ハリスの仮説の立証を試み,視床下部から分泌されるホルモンが脳下垂体(下垂体)への連絡機能をもち,脳下垂体からのホルモン分泌の調節に関与していることを実証した。その後,視床下部ホルモンの分離・合成の研究に取り組み,1969年アンドルー・V.シャリーとともに,甲状腺刺激ホルモン(サイロトロピン)の放出を調節するサイロトロピン放出因子の分離・同定に成功。1973年にソマトスタチンの発見に成功し,糖尿病および消化器の潰瘍の治療薬として期待された。1977年ロザリン・S.ヤロー,シャリーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。
ギルマン
Gilman, Alfred Goodman
[没]2015.12.23. テキサス,ダラス
アメリカ合衆国の薬理学者。1962年エール大学卒業後ケース・ウェスタン・リザーブ大学で学び,1969年博士号取得。1969~71年アメリカ国立衛生研究所,1971~81年バージニア大学勤務後,1981年からテキサス大学サウスウェスタン医学センター薬学部長。マーチン・ロッドベルが 1960年代に提唱した,G蛋白質が受容体から酵素へ情報を伝達する中継機構の役割を果たしているとする学説を発展させ,1970年代に,細胞膜にある G蛋白質遺伝子を欠損させたリンパ球による実験で,G蛋白質の細胞内情報伝達への関与を証明した。その後も多くの G蛋白質を単離,精製し,その構造を特定し,細胞膜の受容体から G蛋白質を介した細胞内情報伝達機構の解明にあたった。この研究は G蛋白質異常が関与するコレラや癌など,多くの疾患の解明に多大な貢献した。その功績により 1994年,ロッドベルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。
ギルマン
Gilman, Daniel Coit
[没]1908.10.13. コネティカット,ノーウィッチ
アメリカの教育家。ジョンズ・ホプキンズ大学初代総長。 1852年エール大学を卒業,ロシア大使館員としてペテルブルグに駐在,54~55年ベルリンに留学。帰国後 17年間エール大学に在職ののち,72~75年バークリーのカリフォルニア大学学長,75~1901年ジョンズ・ホプキンズ大学総長。その後 04年までカーネギー財団初代理事長。高等教育,教育事業の助成,振興などに貢献した。
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