クリフォード(男家)(読み)クリフォード[だんけ](英語表記)Clifford, Barons of

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリフォード(男家)」の意味・わかりやすい解説

クリフォード(男家)
クリフォード[だんけ]
Clifford, Barons of

イギリスの貴族家柄。13世紀の国王諸侯の争いで台頭し,クリフォード男爵位を受けた。中世には代々北方守備に任じ,スコットランドとの戦いに従事。5代ロバート(1273~1314)はエドワード2世の臣下としてロバート1世ブルースと戦い,1314年6月のバノックバーンの戦い戦死。9代ロージャー(1333~89)は百年戦争中にアイルランドやフランスで転戦したのち,カーライル城長官。10代トマス(1419頃没)も同じくカーライル城長官としてリチャード2世に仕え,1388年宮廷を追われてドイツで戦死。12代トマス(1414~55)は 1435年からスコットランド軍と戦ったのち,1452年と 1454年援軍としてカレー防衛のため渡仏。最後はランカスター派の一員としてヨーク派と戦って戦死。その子の 13代ジョン(1435?~61)もランカスター派で,1458年父の仇を討つため挙兵してロンドンに進撃し,一時ヨーク派と妥協したのち,1460年ウェークフィールドの戦いでランカスター軍の将としてヨーク派を撃破,ヨーク公の子ラトランド伯を斬首したが,翌 1461年敗死した。その子の 14代ヘンリー(1455?~1523)は,領地ヨーク朝に没収されたため牧童として育ち,ヘンリー7世時代に称号を回復。ヘンリー8世のもとでスコットランド軍と戦い,1513年のフロッドンの戦いにも従軍。その子の 15代ヘンリー(1493~1542)は,1525年初代カンバーランド伯に叙せられ,以後 5代にわたって同伯爵位を継いだ(→カンバーランド〈伯・公家〉)。17世紀後半にいたり,トマス・クリフォードがあらためてクリフォード男爵家を興し,のち爵位はボイル家,カベンディッシュ家に伝えられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報