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クロソウスキー Klossowski, Pierre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クロソウスキー
Klossowski, Pierre

[生]1905.8.9. パリ
[没]2001.8.12. パリ
フランスの小説家,評論家,画家。ポーランド貴族の家系に生まれ,母はドイツの詩人リルケの愛人であった。弟は画家のバルテュス。父の友人 A.ジッドの秘書などを経て,第2次世界大戦中はリヨン大学で神学を研究。ニーチェシュルレアリスムの影響を強く受ける。緻密な論理によって肉体的存在としての人間を冷徹に分析した作品は,想像力に富み,新しい人間像を予言している。 1970年代からほとんど執筆活動をやめ,画業に専念。主著には,優れたサドの解説書『わが隣人サド』 Sade mon prochain (初版,1947,改訂新版,1967) のほか,評論『かくも不吉な欲望』 Un si funeste désir (1963) ,小説『ロベルトは今夜』 Robert ce soir (1953) ,『ナントの勅令破棄』 Révocation de l'édit de Nantes (1959) ,『プロンプター』 Le Souffleur (1960) ,『バホメット』 Le Baphomet (1965) がある。

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百科事典マイペディアの解説

クロソウスキー

フランスの作家,思想家芸術家。パリ生れ。ポーランド貴族の末裔。画家バルチュスの兄。神学的な短い物語《中断された召命》(1950年),三部作《ロベルトは今夜》(1950年),《ナントの勅令破棄》(1959年),《プロンプター》(1960年)でエロチックで宗教的な神秘の世界を描く。

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世界大百科事典 第2版の解説

クロソウスキー【Pierre Klossowski】

1905‐2001
フランスの作家。盟友G.バタイユと共通する哲学的関心で貫かれた,難解な作風で知られる。小説・評論の両分野にまたがるその作品は,過激カトリックの視点から,〈善〉と〈悪〉が分かちがたくからみ合ったエロティシズムの問題を,大胆なかたちで提起している。主著,小説《歓待の掟》三部作(《ロベルトは今夜》1953,《ナントの勅令破棄》1959,《プロンプター》1960),《バフォメット》(1965),評論《わが隣人サド》(1947),《かくも不吉な欲望》(1963)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クロソウスキー
くろそうすきー
Pierre Klossowski
(1905―2001)

フランスの作家、思想家。画家を両親としてパリに生まれる。父は美術史家でもあり、作家のジッドやリルケと親交があった。画家バルチュスは実弟にあたる。一時期、聖職者を志して神学を学び、ドミニコ会に入るが1945年には世俗の生活にもどった。他方で1930年代からさまざまな文学者、芸術家たちと交流し、とりわけジョルジュ・バタイユの影響を受ける。1947年に刊行された『わが隣人サド』は20世紀におけるサド復権の里程標となった作品であり、同時にクロソウスキーの思想的転回を画すものとなった。この神学からサド研究への移行が示すように、クロソウスキーは異端に魅せられたカトリックであり、エロスの誘惑と神秘主義を混在させた作家である。小説の代表作は『ロベルトは今夜』(1953)、『ナントの勅令破棄』(1959)、そして『プロンプター』(1960)からなる『歓待の掟(おきて)』三部作であろう。パリの上流ブルジョア社会を背景にしたこの三部作では、女主人公ロベルトが夫オクターブが見ている前で行きずりの男たちに身を任せる。やがて代議士になってからも、未知の男を挑発的なポーズで誘惑しようとするが、快楽が彼女の目的ではない。そしてエロティックな場面と交錯するようなかたちで、しばしば難解な宗教的議論が繰り広げられる。オクターブのほうは、ある19世紀の画家の作品を分析しながらそれを再現しようとする。ほかには、小説『バフォメット』(1965)、評論『かくも不吉な欲望』(1963)、『ニーチェと悪循環』(1969)などがある。また映画にも関心を示し、『歓待の掟』に基づいて製作された映画に自らオクターブ役で出演したこともある。[小倉孝誠]
『小島俊明訳『肉の影』(1967・桃源社) ▽小島俊明訳『かくも不吉な欲望』(1969・現代思潮社) ▽小島俊明訳『バフォメット』(1985・ペヨトル工房) ▽若林真・永井旦訳『歓待の掟』新装版(1987・河出書房新社) ▽豊崎光一・宮川淳訳『ディアーナの水浴』(1988・書肆風の薔薇) ▽兼子正勝訳『ニーチェと悪循環』(1989・哲学書房) ▽千葉文夫訳『ローマの貴婦人――ある種の行動の祭祀的にして神話的な起源』(1989・哲学書房) ▽豊崎光一訳『わが隣人サド』(1991・晶文社) ▽清水正訳『ルサンブランス』(1992・ペヨトル工房) ▽兼子正勝訳『生きた貨幣』(2000・青土社) ▽ミシェル・フーコー著、豊崎光一訳『外の思考――ブランショ・バタイユ・クロソウスキー』(1978・朝日出版社) ▽アラン・アルノー著、野村英夫・杉原整訳『ピエール・クロソウスキー』(1998・国文社)』

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