クロム酸カリウム(読み)クロムサンカリウム(英語表記)potassium chromate

デジタル大辞泉 「クロム酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

クロムさん‐カリウム【クロム酸カリウム】

黄色の水に溶ける結晶二クロム酸カリウム水溶液炭酸カリウムを加えてつくる。強い酸化作用があり、酸化剤媒染剤・分析用試薬などに使用。いわゆる六価クロムの一。

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精選版 日本国語大辞典 「クロム酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

クロムさん‐カリウム【クロム酸カリウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( カリウムは[ドイツ語] Kalium ) クロム酸のカリウム塩。化学式 K2CrO4 黄色の斜方晶系結晶。重クロム酸カリウムから得られ、水に溶け、熱に安定な強酸化剤。水溶液加水分解の結果アルカリ性を呈し、溶液を酸性にすると黄色の重クロム酸カリウムになる。クロム酸塩の製造、革なめし、媒染剤の酸化剤、顔料、分析試薬などに用いられる。クロム酸カリ。

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改訂新版 世界大百科事典 「クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

クロム酸カリウム (クロムさんカリウム)
potassium chromate

化学式K2CrO4。黄色,斜方晶系の結晶。融点975℃,比重2.73,屈折率1.7261。強熱すると濃い赤色となり,真空中では昇華する。水に易溶で,溶解度58.09g/100g(0℃),75.68g/100g(100℃)。エチルアルコールに不溶。水溶液は加水分解してアルカリ性を示す。

 CrO42⁻+H2O─→HCrO4⁻+OH

これに酸を加えると,縮合して二クロム酸塩を生じ,橙赤色となる。

 2CrO42⁻+2H⁺─→Cr2O72⁻+H2O

工業的には,クロム鉄鉱(FeO・Cr2O3)と炭酸ナトリウム石灰石の混合物を粉砕し,酸化焙焼したものを硫酸で抽出して得た二クロム酸ナトリウムNa2Cr2O7を炭酸カリウムと反応させてつくる。

 4(FeO・Cr2O3)+8Na2CO3+7O2─→8Na2CrO4+2Fe2O3+8CO2

 2Na2CrO4+H2SO4─→Na2Cr2O7+Na2SO4+H2O

 Na2Cr2O7+2K2CO3─→2K2CrO4+Na2CO3+CO2

酸化剤,媒染剤,分析試薬,写真製版皮なめしなどに用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

クロム酸カリウム
くろむさんかりうむ
potassium chromate

クロム酸のカリウム塩。二クロム酸カリウムの熱水溶液に炭酸カリウムをわずかに塩基性になるまで加え、濃縮放冷すると黄色の結晶として得られる。加熱すると675℃で六方晶系の変態に転移し、赤色を呈するが、冷えれば晶系・色はともに元に戻る。水100グラムに対する溶解度は0℃で58.0グラム、100℃で75.6グラムであり、溶解度の温度による差が相対的に小さいので、水溶液からの再結晶では精製しにくい。クロム酸塩の製造、なめし革の仕上げ、媒染剤などに用いられる。重金属イオンの分析試薬として用いられ、また、銀イオンのモール滴定法(ドイツのモールKarl Friedrich Mohr(1806―1879)が1856年に創始した終点検知法で、赤色のクロム酸銀の沈殿が現れる点を終点とする)における指示薬として用いられる。

[岩本振武]


クロム酸カリウム(データノート)
くろむさんかりうむでーたのーと

クロム酸カリウム
  K2CrO4
 式量  194.2
 融点  975℃
 沸点  ―
 比重  2.732(18℃)
 結晶系 斜方(直方)

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化学辞典 第2版 「クロム酸カリウム」の解説

クロム酸カリウム
クロムサンカリウム
potassium chromate

K2CrO4(194.19).二クロム酸カリウムの熱水溶液に,炭酸カリウムを加え,微アルカリ性で蒸発濃縮後冷却すると析出する.黄色の結晶.室温ではα形の斜方晶系のイオン結晶で,四面体型のCrO42-が存在する.Cr-O約1.67 Å.密度2.73 g cm-3.675 ℃ に加熱すると赤色の六方晶系(β形)にかわり,冷却するともとに戻る.融点975 ℃.水に易溶.水溶液を酸性にすると,Cr2O72-を生じて赤橙色になる.濃塩酸を加えると,[CrO3Cl] を生じ,この混合液を加熱すると,Cl2 を発生して,Cr3+ に還元される.酸化剤,分析試薬,皮なめし,媒染剤,クロム酸塩の原料(顔料など)などに用いられる.[CAS 7789-00-6][別用語参照]クロム酸(塩)

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百科事典マイペディア 「クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

クロム酸カリウム【クロムさんカリウム】

化学式はK2CrO4。比重2.732,融点975℃。黄色の結晶で,水に可溶。強熱すると赤色となる。工業的には二クロム酸ナトリウムを炭酸カリウムと反応させてつくられる。酸化剤,媒染剤,分析用試薬などに使用。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

クロム酸カリウム
クロムさんカリウム
potassium chromate

化学式 K2CrO4 。黄色結晶。水に可溶,エチルアルコールに不溶。比重 2.73。融点 975℃。水溶液はアルカリ性で,酸性下では,橙黄色の二クロム酸カリウムになる。有機反応の酸化剤として用いられる。

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