グルクロン酸
グルクロンサン
glucuronic acid
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
グルクロン酸
ぐるくろんさん
ウロン酸の一種で、グルコースの6の位置が酸化されたもの。白色の粉末で、水やエタノールによく溶ける。高等動物のムコ多糖類の主要な構成要素で、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸などに含まれる。また、アラビアゴムなどの植物の粘質物や細菌の細胞壁などにD型として存在する。なお、グルクロン酸は、体内の老廃物であるフェノール性の有毒物質と結合して、これを抱合解毒する働きがある。しかし、このとき有効なのは遊離のグルクロン酸ではなく、ウリジン二リン酸(UDP)‐グルクロン酸であり、これは生体内で、UDP‐グルコースからつくられる。
[村松 喬]
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グルクロン酸
グルクロンさん
glucuronic acid
化学式 C6H10O7 。グルコースから導かれるウロン酸。融点 156℃の針状晶。植物界では麦わら,木材などの構造多糖類の構成成分として,動物界ではコンドロイチン硫酸,ヒアルロン酸などの構成成分として存在する。グルコースのアルデヒド基を保護したのち,過マンガン酸カリウムで酸化するか,アカシアのゴム質の加水分解物からつくられる。動物の解毒作用に関係のある物質で,動物にモルフィンやショウノウなどを投与すると,これらの毒物とグリコシド結合して尿中に排泄される。薬物副作用などに内用する。
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グルクロン酸【グルクロンさん】
グルコースから誘導されるウロン酸で,動物体を構成するヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸,植物のゴム質,ヘパリン,ニンニクなどの多糖成分。融点156℃。生体内にフェノール,クロラール,樟脳(しょうのう)などの毒物が多量に入った場合,それらはいったんグルコースの配糖体に変えられた後酸化され,D-グルクロン酸抱合体を形成して,尿中に排出される。
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グルクロン‐さん【グルクロン酸】
〘名〙 (glucuronic acid の
訳語) ウロン酸の一種。
ブドウ糖の酸化物で、尿中に少量含まれる。
芳香族の酸、フェノールなどの有毒物質と
エーテルや
エステルを形成することによって無毒化する作用があり、肝臓における解毒作用に関与している。
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グルクロン‐さん【グルクロン酸】
《glucuronic acid》グルコースが酸化されて生じる酸。生体に存在し、動物ではムコ多糖類の主要な構成成分。体内に入った有害物質を抱合して尿中に排出する解毒作用があり、主に肝臓で行われる。
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グルクロン酸
C6H10O7 (mw194.14).
グルコースが酸化された形のウロン酸.
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グルクロンさん【グルクロン酸 glucuronic acid】
(化学式)低分子生体物質の一種。ヒアルロン酸(関節液中に含まれる)やコンドロイチン硫酸(軟骨などの結合組織に含まれる)などのムコ多糖の主要構成成分であり,代表的なウロン酸である。グルコースの6位の水酸基がカルボキシル基におきかわった構造をもつ。水,エチルアルコールに可溶の針状結晶で,水溶液は変旋光を示す。分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基が共存するため,3,6のラクトン(グルクロノラクトン)をつくりやすい。
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世界大百科事典内のグルクロン酸の言及
【ウロン酸】より
…広義には,ケト基をもつ単糖類,すなわちケトースの末端アルコールが酸化された場合(どちらの末端が酸化されるかに応じて2種類存在する)も含むが,一般には前者のアルドウロン酸をさす。母体となるアルドースの語幹を付して,グルクロン酸,ガラクツロン酸,マンヌロン酸などと呼ぶ。天然にはこれら3種のウロン酸が存在し,多糖類の成分として分布している。…
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