グルクロン酸(読み)グルクロンサン

デジタル大辞泉 「グルクロン酸」の意味・読み・例文・類語

グルクロン‐さん【グルクロン酸】

glucuronic acidグルコースが酸化されて生じる酸。生体に存在し、動物ではムコ多糖類の主要な構成成分。体内に入った有害物質を抱合して尿中に排出する解毒作用があり、主に肝臓で行われる。

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精選版 日本国語大辞典 「グルクロン酸」の意味・読み・例文・類語

グルクロン‐さん【グルクロン酸】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] glucuronic acid の訳語 ) ウロン酸一種ブドウ糖酸化物で、尿中に少量含まれる。芳香族の酸、フェノールなどの有毒物質とエーテルエステルを形成することによって無毒化する作用があり、肝臓における解毒作用に関与している。

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化学辞典 第2版 「グルクロン酸」の解説

グルクロン酸
グルクロンサン
glucuronic acid

C6H10O7(194.14).略号GlcU.D-グルクロン酸はコンドロイチン硫酸ヘパリンヒアルロン酸などのムコ多糖類や,アラビアゴム,麦ワラなどの多糖類の構成成分として広く動物,植物界に分布している.血液や尿中には,微量ながら遊離状で存在する.植物性ゴム質,粘液質,配糖体加水分解のほか,D-グルカル酸-1,4-ラクトンの部分還元,1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノースの酸化など,種々の方法で得られる.β-アノマーは融点165 ℃.+11.7→+36.3°(水).pKa 3.18.水,エタノールに可溶.還元糖としての一般的性質を示す.塩酸中で加熱すると,二酸化炭素とフルフラールとに分解する.この反応は検出,定量に利用される.3,6-ラクトンC6H8O6(176.13)は融点176~178 ℃.+20°(水).LD50 10700 mg/kg(ラット経口).解毒に関係があり,ショウノウ,クロラール,フェノールなど,体内で酸化されにくい毒物を動物に投与すると,それらは肝臓中でD-グルクロン酸の配糖体となり,尿中に排出される.[CAS 6556-12-3][CAS 63-29-6:3,6-ラクトン]

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改訂新版 世界大百科事典 「グルクロン酸」の意味・わかりやすい解説

グルクロン酸 (グルクロンさん)
glucuronic acid



低分子生体物質の一種。ヒアルロン酸(関節液中に含まれる)やコンドロイチン硫酸(軟骨などの結合組織に含まれる)などのムコ多糖の主要構成成分であり,代表的なウロン酸である。グルコースの6位の水酸基がカルボキシル基におきかわった構造をもつ。水,エチルアルコールに可溶の針状結晶で,水溶液は変旋光を示す。分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基が共存するため,3,6のラクトン(グルクロノラクトン)をつくりやすい。植物ではアラビアゴムなどの構成糖,細菌の莢膜(きようまく)多糖成分として広く分布する。代謝的には,ウリジン二リン酸(UDP)グルコースの酸化によってウリジン二リン酸(UDP)グルクロン酸が生成し,これが種々の多糖のグルクロン酸残基供与体となる。UDP-グルクロン酸は肝臓の小胞体上の酵素の働きで,フェノール類の水酸基と反応してグルクロン酸抱合体を形成する。グルクロン酸抱合によってフェノール類は無毒化され,かつ尿中に排泄されやすくなる。すなわちUDP-グルクロン酸は解毒作用に関与している。グルクロン酸はアスコルビン酸ビタミンC)生合成経路の入口に位置する。
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百科事典マイペディア 「グルクロン酸」の意味・わかりやすい解説

グルクロン酸【グルクロンさん】

グルコースから誘導されるウロン酸で,動物体を構成するヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸,植物のゴム質,ヘパリン,ニンニクなどの多糖成分。融点156℃。生体内にフェノール,クロラール,樟脳(しょうのう)などの毒物が多量に入った場合,それらはいったんグルコースの配糖体に変えられた後酸化され,D-グルクロン酸抱合体を形成して,尿中に排出される。

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栄養・生化学辞典 「グルクロン酸」の解説

グルクロン酸

 C6H10O7 (mw194.14).

 グルコースが酸化された形のウロン酸.

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世界大百科事典(旧版)内のグルクロン酸の言及

【ウロン酸】より

…広義には,ケト基をもつ単糖類,すなわちケトースの末端アルコールが酸化された場合(どちらの末端が酸化されるかに応じて2種類存在する)も含むが,一般には前者のアルドウロン酸をさす。母体となるアルドースの語幹を付して,グルクロン酸,ガラクツロン酸,マンヌロン酸などと呼ぶ。天然にはこれら3種のウロン酸が存在し,多糖類の成分として分布している。…

※「グルクロン酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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