出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
アメリカのコーラ飲料の商標名。コカの葉とコーラの実の抽出液を主要な原料とするのでこの名が生まれたが,こまかな成分・製法は秘密とされている。1886年,ジョージア州アトランタの薬剤師ペンバートンJohn S.Pembertonがトニック(強壮剤)として創製した。手違いで水の代りにソーダ水で割ったことにより,独特の味が発見されたという。ペンバートンはその原液をドラッグストアやソーダ・ファウンテンに売ったが,最初の1年で宣伝費74ドルに対し収入25ドルという結果に終わったため,この事業を1750ドルで手放した。87年それを買った同じくアトランタのキャンドラーAsa G.Candlerは,さらに手を加え,薬としてではなく清涼飲料として売り出し,成功。99年,これを瓶詰にして売る販売権をわずか1ドルで人に認めたことが幸いし,事業はますます発展,1919年,2500万ドルで事業をコカ・コーラ社に売った。
コカ・コーラの歴史は,大量消費時代の先端を行く宣伝の歴史でもある。1915年から採用された胸元のふくれた形の瓶,〈さわやかrefreshing〉を強調したキャッチフレーズ,健康な色気を発散する美女たちのポスターなど,いずれも大衆の心をとらえてきた。そして第2次世界大戦を契機に世界へ進出,アメリカナイゼーションをもじった〈コカ・コーラリゼーション〉という言葉まで生まれた。この〈侵略〉に対し,古くはポルトガル,近くはインドが販売禁止の措置をとったが,〈コカ・コーラ帝国〉の拡大はなかなかやみそうにない。
→コーラ飲料
執筆者:亀井 俊介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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