改訂新版 世界大百科事典 「サンパン」の意味・わかりやすい解説
サンパン
sampan
中国および東南アジアの沿岸や河川で用いる小船。中国語では〈三板(舢板・舢舨・杉板)〉と表記する。サンパンの語源はジャワ語,クメール語等々,諸説紛々としているが,中国語の三板は南方の言語の影響があったようである。もとは中国の港湾に使用され,構造は甲板(デッキ)のない寄木船(よせきぶね)で,一般に帆がなく艪櫂(ろかい)をこぐ喫水の浅い平底の,船尾の張りひろがった長さ3~4mばかりの小型の通船(かよいぶね),はしけ,伝馬船(てんません)をさしていった。しかし今日では,単に中国のそれだけではなく,東南アジアの各地域にわたって見られる同種の小型木船の全般的な呼称となっている。水上生活者の船をも包括し,ジャンクとは区別される。
執筆者:中野 輝雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報