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シバ派 シバはŚiva

翻訳|Śiva

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シバ派
シバは
Śiva

ヒンドゥー教の一派。ビシュヌ派とともに現在最も有力な宗派シバ神を崇拝する。シバ神はブラフマー,ビシュヌとともに,天地の創造,維持,破壊を司る3神の一つで,破壊の神。のちに破壊だけでなく創造,維持の力もあるとされ,リンガ (男根) 信仰と結合して栄え,現在もシバ派寺院にはリンガを祀る。また,ナタラージャ (踊りの王) とされ,「踊るシバ」の銅像が盛んに造られた。この宗派はパーシュパタ派アーガマ派とに大別され,両派はさらに多数の小派に分れた。現在はパーシュパタ派はほとんど消え,アーガマ派のみ栄えている。

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世界大百科事典 第2版の解説

シバは【シバ派】

ヒンドゥー教の有力な一派で,シバ神を最高神として崇拝する。サンスクリット語でシャイバŚaivaという。その起源は相当に古いと思われるが,文献に見えるかぎりでは,2世紀,クシャーナ朝の時代には,かなりの勢力をもっていたようである。仏典には,しばしば,自在天(イーシュバラĪśvara)ないし大自在天(マヘーシュバラMaheśvara)を崇拝し,体中に灰を塗りたくる外道(げどう)とか,人間の髑髏(どくろ)を連ねて首飾にする外道とかの記述があるが,これは,いずれもシバ派の修行者のことである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シバ派
しばは
aivaaivite

シバ神を最高神として崇拝するヒンドゥー教の有力な一派で、5世紀ころに明確な形をなしたと考えられている。ベーダ時代にはシバは個性の弱い神であったが、やがて諸地方の土着の宗教と習合を重ねるにしたがい、世界を主宰する神、とくには世界を破壊する恐るべき神とされるようになった。また、各地の地母神もシバ神妃として取り込まれるに至り、シバは男性性器(リンガ)、その神妃は性力(シャクティ)として崇拝されるようになった。哲学的には、純粋精神と根本物質の二元論を説くサーンキヤ学派、また、世界の最高主宰神は質料因ではなく動力因であると説くニヤーヤ学派、バイシェーシカ学派との結び付きが一般に強い。その重要な支派は以下のとおりである。[宮元啓一]

支派

(1)聖典シバ派 アーガマと称せられる聖典を信奉し、とくに南インドのタミル地方で栄えた。この派によれば、世界は主(パティ)、家畜(獣、パシュ)、索縄(さくじょう)(パーシャ)の3原理よりなる。主とは最高神たるシバ神、家畜とは個我、索縄とは非精神的な物質のことである。個我はシバ神の恩寵(おんちょう)によって神通力(じんずうりき)、解脱(げだつ)を得てシバ神そのものと同等になるという。
(2)カシミール・シバ派 カシミール地方を中心に栄えたこの派は、トリカとも称せられる。もとは聖典シバ派と同じ聖典を信奉していたようだが、9世紀にバスグプタが『シバ・スートラ』を著してから、不二一元(ふにいちげん)論の傾向を強め、独自の神学が形成された。この派によれば、解脱とは、無知を滅ぼし、自らが本来シバ神と同一であることを再認識することにほかならないという。そこで、再認識派とも称せられる。
(3)パーシュパタ(獣主)派 ラクリーシャ(年代不明)を開祖とする。彼はシバ神の化身であり、この派の根本経典『パーシュパタスートラ』を著したと伝えられる。この派では、原因(シバ神)、結果(個我)、ヨーガ(シバ神と個我の合一)、儀軌(ぎき)(修行法)、苦の終息の五つの原理がたてられる。
(4)シャクティ(性力)派 タントラと称せられる聖典を信奉する一派。独特の身体宇宙論を展開し、会陰(えいん)あたりに住まうクンダリニーという蛇の形をしたシャクティ(シバ神妃でもある)を覚醒(かくせい)、上昇させ、頭頂に住まうシバ神と合体させる修行法などを主張した。
(5)ラセーシュバラ(水銀)派 この派によれば、水銀はシバ神とその妃との結合から生じた不老不死の霊薬であり、これを服用し、身体を水銀所成にし、ヨーガを修することで、人は生前解脱に達するという。
(6)リンガーヤタ派 別名ビーラ・シバ派。バサバ(12世紀)を開祖とし、とくにカルナータカ地方に広まった。シバ神の象徴であるリンガをつねに携帯し、神の恩寵を重視し、カースト制度を否定し、偶像崇拝や巡礼など、外的な儀礼を廃止した。
(7)カーパーリカ派 人間の髑髏(どくろ)(カパーラ)を連ねて頭や首の飾りにするといった、独特の修行法を奉じた。この派の修行者は、7世紀にインドに遊学した玄奘(げんじょう)も目撃している。また、中世のサンスクリット語の戯曲にも、彼らはしばしば登場する。[宮元啓一]
『黒柳恒男・土井久弥著『インドの諸宗教〈宗教のるつぼ〉』(中村元他編『アジア仏教史 インド編』所収・1973・佼成出版社) ▽R・G・バンダルカル著、島岩・池田健太郎訳『ヒンドゥー教――ヴィシュヌとシヴァの宗教』(1985・せりか書房) ▽マドゥ・バザーズ・ワング著、山口泰司訳『ヒンドゥー教』(2004・青土社) ▽山下博司著『ヒンドゥー教――インドという“謎”』(2004・講談社)』

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世界大百科事典内のシバ派の言及

【アビナバグプタ】より

…生没年不詳。ヒンドゥー哲学の一派として9世紀ころにインドのカシミール地方で成立したシバ派(カシミール・シバ派)の最も代表的な思想家で,10世紀末に活躍した。主著の一つ《イーシュバラ・プラティアビジュニャー・ビマルシニー(主宰神の再認識の考察)》は,シバ神と各個我との同一性を再認識することにより解脱に達すると説くこの派(別名,再認識派)の不二一元論的思想の発展に大きく貢献した。…

【タントラ】より

…インド中世の,女性原理,〈性力〉を教義の中心とする諸宗派の聖典の総称。ふつうは,ビシュヌ派ではパンチャラートラ派のサンヒター,シバ派では聖典シバ派のアーガマおよび性力派のタントラなどを指す。最古のものは7世紀ころの成立とされる。…

【ナーヤナール】より

…南インドのタミル地方に,7世紀ころから現れた,一連のシバ派の指導者たちの総称。アディヤールadyārとも称せられる。…

※「シバ派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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