アメリカの応用数学者。通信理論を一般化して情報理論をつくり上げた。ミシガン州ゲーロードに生まれ,ミシガン大学を卒業した。1940年にマサチューセッツ工科大学で数学の博士号を取得し,翌年からベル電話研究所に勤めた。57年にマサチューセッツ工科大学教授となった。1948年に発表した論文《通信の数学的理論》により情報理論を開いた。彼は,熱力学における無秩序の度合であるエントロピーを援用して,情報源に存在する不確実さの度合をエントロピーと呼んだ。情報を受けとることにより知識の不確実さの度合の減少する量をエントロピー減少量と定義し,その単位を〈ビット〉と名付けた。情報源の符号化と冗長度の問題を取り扱うとともに,通信路の伝送容量に上限が存在すること(シャノンの定理)を指摘した。画像のような情報量の多い信号の伝送にあたっては,情報理論に従って適正な符号化を行わないと,必要以上の周波数帯域幅を占用したり,逆にひずみを生ずることになる。このようにシャノンが始めた情報理論は,今日の通信技術に不可欠である。情報理論は拡張されて,暗号法,言語学,コンピューター設計などに広く応用されている。シャノンはまた,ブール代数によるスイッチ回路の解析やオートマトンについても重要な貢献をした。
執筆者:高橋 雄造
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…しかし同じ容量をもっていても,区別されない符号が並んでいるのと区別されるものが特定の順序で並んでいるのとでは情報の量が異なる。ハートリーは〈心理的要素を考慮に入れてきめなければならない〉として〈情報量〉の規定を避けたが,シャノンC.E.Shannonは48年,確率pの状態にある情報量Cを-logpで定義した。これだと,確率が小さいほど情報量が大きいという心理的事実と合うのである。…
…これは従来の対象別個別の研究の枠を超えて,生体から機械まで情報を主体として統一的に捉える新しい情報科学の成立を宣言する哲学であった。一方,C.E.シャノンは通信の本質を探究する中で,情報の伝達すなわち通信の現象にひそむ情報の本質構造を数学理論として認識し体系化することに成功した。これが1948年に発表された情報理論である。…
…これを回線容量ともいう。このような一般的定義以外に,とくに1948年にC.E.シャノンによって確立された情報理論による通信路の能力を表す数学的定義がある。この定義に従えば,通信容量は,注目する通信路に情報理論的に整合した情報源を接続したときに達成される情報伝送速度である。…
…この同一言語内の翻訳,言換えから〈意味〉というものの定義も導き出された。すなわち,情報理論の創始者であるC.E.シャノンはこの意味を〈翻訳の際の不変体〉と規定し,この規定がヤコブソンや文化記号論研究者たちによって取り入れられたのである。同様の考えはすでにC.S.パースやバフチンによっても述べられていた。…
※「シャノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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