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シンボリック相互作用論 シンボリックそうごさようろんsymbolic interactionism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シンボリック相互作用論
シンボリックそうごさようろん
symbolic interactionism

20世紀の初め G.H.ミードに始まり,1960年以後,H.G.ブルーマー,T.シブタニ,V.ターナー,E.ゴフマンらによって展開されたアメリカの哲学・社会学社会心理学理論の新しい流れ。人間を,シンボル (意味) を操作する動物,人間の社会的行為をシンボルを媒介にした相互行為であるとみなし,人間がいかにして世界に主体的に働きかけ,それを意味あるものとして構成しているかを明らかにしようとする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シンボリック相互作用論
しんぼりっくそうごさようろん
symbolic interactionism

現代社会学の主要なパースペクティブ(視野)、アプローチの一つだが、社会心理学の一つのパースペクティブとみられることもある。シンボリック相互作用、シンボリック相互作用論者たちといった用語は、シュミットE. P. Schmidt編著の『人間と社会』(1937)に収められたブルーマーHerbert Blumer(1900―87)の論文「社会心理学」にみいだされる。ブルーマーによれば、シンボリック相互作用論者たちは、社会的相互作用をコミュニケーティブ・プロセスとみるのであり、「行為」が注目されるのである。社会的現実は、シンボルを操作する人間の動的な相互作用を通じて現れるのであり、経験を共有しながら意味の世界を生きる人間は能動的な人間なのである。シンボリック相互作用論のパースペクティブにおいては、社会はシンボリック相互作用、コミュニケーティブ・プロセスとして理解されるのであり、みえない社会が発見され、日常生活のプロセスと場面が照らし出されたのである。他者と自己を経験する場面では、絶え間なしにことばや行為の理解と解釈、状況の規定などが行われるのである。
 なお人間にとっての環境世界に注目したカッシーラーは、シンボリック・リアリティに着眼しながら、人間を、シンボルを操作する動物animal symbolicumとよんでおり、また、デューイはそこで人間が生きている世界をサインとシンボルの世界とよんでいるが、このような人間と世界についての理解は、社会学などにおいても注目に値するものといえるだろう。
 シンボリック相互作用論の展開の中心にミードが位置しているが、ジンメル、デューイ、クーリー、トマス、パーク、ブルーマー、ダンカンらの業績が注目される。『行為と演技』の著者ゴフマンのドラマツルギー(戯曲創作の方法論で、作劇法、作劇術)のパースペクティブも注目されている。[山岸 健]
『カッシーラー著、生松敬三ほか訳『象徴形式の哲学1 言語』(1972・竹内書店) ▽G・H・ミード著、稲葉三千男ほか訳『現代社会学大系10 精神・自我・社会』(1973・青木書店) ▽E・ゴッフマン著、石黒毅訳『行為と演技 日常生活における自己呈示』(1974・誠信書房) ▽船津衛著『シンボリック相互作用論』(1976・恒星社厚生閣) ▽船津衛著『ミード自我論の研究』(1989・恒星社厚生閣) ▽中久郎著『現代社会学の諸理論』(1990・世界思想社) ▽ハーバート・ブルーマー著、後藤将之訳『シンボリック相互作用論――パースペクティヴと方法』(1991・勁草書房) ▽船津衛・宝月誠編『シンボリック相互作用論の世界』(1995・恒星社厚生閣) ▽ハーバート・ブルーマー著、片桐雅隆ほか訳『産業化論再考――シンボリック相互作用論の視点から』(1995・勁草書房)』

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