無蓋(むがい)の小型客車を連結して、急カーブや急傾斜の高架軌道上を惰性で突っ走らせ、スリルを味わう遊園地の娯楽施設。アメリカではローラーコースターroller coaster、イギリスではスイッチバックswitchbackということが多い。1884年アメリカ人トンプソンLaMarcus Adna Thompson(1848―1919)が廃坑になった後の炭鉱車を乗客輸送に利用した鉱山鉄道からヒントを得て、ニューヨーク郊外の遊園地コニー・アイランドに設けた「グラビティ・プレジャー・スイッチバック・レールウェイGravity Pleasure Switchback Railway」が始まりである。日本では1952年(昭和27)兵庫県・宝塚新温泉遊園地(のちの宝塚ファミリーランド。2003年に閉園)の「ウェーブコースター」が最初である。「ジェットコースター」という名で最初に登場したのは、55年東京の後楽園ゆうえんち(現東京ドームシティアトラクションズ)である。77年千葉県の谷津(やつ)遊園(1925~82)につくられた日本初の宙返りコースター「コークスクリュー」を皮切りに、各遊園地はいわゆる「絶叫マシン」の導入を進めるようになり、79年神奈川県・横浜ドリームランド(1964~2002)に「シャトルループ」、82年東京・よみうりランドに立ち乗りコースター「スタンディングループコースター」、92年(平成4)大分県・城島(きじま)後楽園遊園地に木製コースター「ジュピター」、98年三重県・鈴鹿サーキットにリニアモーター駆動のリニアコースター「マッドコブラ」などがつくられている。材料や設計技術の発達とともに、スリル感の大きなものが増え、1996年山梨県・富士急ハイランドにつくられた「FUJIYAMA」は、全長2045メートル、最高速度130キロメートル/時、落差70メートル、高さ79メートルで、全長・最高速度・落差でギネス記録を更新した。その後国内では、2000年三重県・ナガシマスパーランドにつくられた「スチールドラゴン2000」が全長2479メートル、最高速度153キロメートル/時、落差93.5メートル、高さ97メートルで記録を更新、2001年には、富士急ハイランドにつくられた「ドドンパ」が最高速度を172キロメートル/時と更新しており、2002年現在この二つの最高速度が世界第1位、2位となっている。なお、現存するコースターで日本最古のものは、1953年につくられた東京浅草の花やしきにある「ローラーコースター」である。
海外では、アメリカ、カリフォルニア州のマジックマウンテンMagic Mountainにある「スーパーマン・ジ・エスケープSuperman the Escape」が高さ126.5メートル、落差100メートルで世界最大級である(2002)。
[可児秀夫]
『ジョン・F・キャソン著、大井浩二訳『コニー・アイランド――遊園地が語るアメリカ文化』(1987・開文社出版)』▽『松本孝幸著『遊園地の現在学』(1992・JICC出版局)』▽『細井正利著『遊園地・絶叫マシンパラダイス』(1995・フットワーク出版)』▽『八木一正著『遊園地のメカニズム図鑑――ジェットコースターが落ちない理由』(1996・日本実業出版社)』▽『宮田珠己著『ジェットコースターにもほどがある』(2002・小学館)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
傾斜をつけたレールに車両を引き上げ,急速度で下降させる遊戯機械。アメリカではローラーコースターroller coasterと呼ばれる。起源は帝制ロシア時代,現在のサンクト・ペテルブルグ郊外につくられた木造の山形のすべり台によるそり遊びといわれる。1873年のウィーン万国博覧会には,木製の斜面上のレールを2人乗りの車が下降する〈ロシアの山〉が登場した。アメリカでは,山頂への乗客輸送に転用された鉱山鉄道にヒントを得たA.トンプソンが,84年にコニー・アイランドに〈スイッチバック・レールウェー〉を設置したのが嚆矢(こうし)で,96年には垂直のループをもつ〈フリップフラップ〉もつくられた。日本では1952年,大阪の枚方(ひらかた)公苑と宝塚新温泉が最初で,翌53年東京の花やしきにもつくられ,55年には後楽園にはじめて〈ジェットコースター〉という名で登場した。77年千葉の谷津遊園に,アメリカで75年に初登場したコークスクリューが導入されて以来,日本でも新型機種ブームとなり,一段とスリルが求められるようになった。
執筆者:中藤 保則
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新