ジュゴン(その他表記)dugong
Dugong dugon

共同通信ニュース用語解説 「ジュゴン」の解説

ジュゴン

熱帯から亜熱帯の浅い海に生息する哺乳類。日本では沖縄本島周辺だけで確認されており、確実な生息数は3頭。国の天然記念物で、環境省は「野生での絶滅の危険性が極めて高い種」に指定している。米軍普天間飛行場の移設予定地である沖縄県名護市辺野古の周辺海域は主要な生息域の一つ。餌となる海草が豊富で、埋め立て予定の浅瀬でも食べた跡が見つかっている。(サンフランシスコ共同)

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改訂新版 世界大百科事典 「ジュゴン」の意味・わかりやすい解説

ジュゴン (儒艮)
dugong
Dugong dugon

南西諸島ではザン,ザンノイオ(サイの魚の意)とも呼ぶ。カイギュウ目ジュゴン科の哺乳類。体は紡錘形で尾部先端に左右に広がる半月形の尾びれを有する海獣。後足は退化して見えず,前肢はひれ状であるが,中には5本の指骨がある。前肢(腕)の付け根の腹側に1対の乳頭があり,人魚伝説のイメージとなった動物といわれるが,その顔からはとても美人は浮かばない。犬歯は欠くが,第2門歯が長大できば状となっており,その成長線から年齢がわかる。寿命は約70年と思われる。臼歯(きゆうし)は頰歯(きようし)と称し,上下顎(じようかがく)両側のレール状歯槽溝の中で,後部の歯が生成することによって,前方の歯は前へ押し出され歯槽溝から外れて脱落する。体長は出生時約1.3mで,3m以上に成長する。全身鉛灰色腹部は淡桃色を帯びることもある。斑紋はない。西部太平洋およびインド洋の熱帯,亜熱帯の浅海域に分布し,海草類を食べている。北限は奄美大島。推定個体数約10万頭であるが,分布域の西にいくほど少ない。肉が美味なため乱獲され減少した。オーストラリアを除き,CITES条約で希少動物として保護されている。国の天然記念物。
人魚
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュゴン」の意味・わかりやすい解説

ジュゴン
じゅごん / 儒艮
dugong
[学] Dugong dugon

哺乳(ほにゅう)綱海牛目ジュゴン科の海産動物。沖縄ではザンノイオ、アカンガイユともよばれる。インド洋、太平洋地域の浅海に生息し、南西諸島は分布の北限である。体は紡錘形で、尾びれは鯨類と同じ三日月形をしており、後肢はなく、前肢はひれ状、この付け根に1対の乳頭がある。目は小さくその後方に耳孔があるが耳殻はない。最大は体長3メートル、体重400キログラムに達するが、通常は2.5メートル前後、250~300キログラムである。体色は青みがかった灰色から褐色がかった灰色と変化がある。大きく円盤状に発達した上唇はブタの鼻鏡を思わせ、上下の唇には洞毛という太い感覚毛が密生しており、よく動く唇と洞毛で餌(えさ)の植物の選別もし、また口中に取り込む。本種の鼻口部、顔つきはなんとも名状しがたいものである。白い細毛と太く短い洞毛が全身にまばらに生えている。1対の鼻孔は上唇の後上方についている。餌はヒルムシロ科トチカガミ科などの海産種子植物である。肉は美味で不老長寿の効果があると信じられていた。昔は沖縄に相当数のジュゴンがいて、八重山(やえやま)列島から琉球(りゅうきゅう)王に上納された。沖縄にはジュゴンにまつわる民謡や民話が数多くある。人魚伝説のモデルといわれているが、日本の人魚の源は深海魚リュウグウノツカイとする説もある。ジュゴンは少数ながら現在でも沖縄諸島に生息が認められ、1982年(昭和57)3月に沖縄本島東海岸に死体が漂着している。国の天然記念物。

[内田詮三]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュゴン」の意味・わかりやすい解説

ジュゴン
Dugong dugon; dugong

カイギュウ目ジュゴン科ジュゴン属。最大体長は約 3.3m,最大体重は約 400kg。出生仔は体長1~1.5m,体重約 20kgである。体色は灰色を帯びた黒色で,腹部は淡色を呈する。幼獣は淡い乳白色である。体型は紡錘形。軟らかい鰭 (ひれ) 状の前肢とクジラ類のように後縁が切れ込んだ尾鰭を有する。鼻面が下方に伸びているために口吻が短く,口唇に剛毛が密集する。鼻孔は弁状で鼻面の上部に2個ある。皮膚はなめらかで短毛が散在する。門歯は上顎4本,下顎6本,犬歯は下顎にのみ2本,前臼歯と臼歯はそれぞれ上顎と下顎に各6本ずつあり,老成個体は前臼歯と臼歯が2~3本消失する。上下顎の門歯と下顎の犬歯は痕跡歯である。6頭以下の小群で行動する。潜水時間は8分程度。周年繁殖を行い妊娠期間は 13~14ヵ月で1産1仔。草食性でアマモ類を採食する。インド洋から太平洋西部の熱帯と亜熱帯海域沿岸に広く分布する。絶滅危惧種。人魚のモデルとも考えられている。

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百科事典マイペディア 「ジュゴン」の意味・わかりやすい解説

ジュゴン

ザンノイオとも。カイギュウ(海牛)目ジュゴン科の海生哺乳(ほにゅう)類。分類上はゾウなどに近い。雄は体長2.5m前後であるが,雌はやや小さい。皮膚は硬く青灰色。紅海〜モザンビーク北部,インド,台湾,南西諸島,オーストラリア北岸などに分布。浅海に1〜数頭ですみ,海草を食べる。妊娠期間12〜14ヵ月,1腹1子。肉は美味で,マレー地方では食用にされた。前肢で子を胸にだき,乳を飲ませる姿が人間に似るといわれ,これから人魚が想像されたともいわれる。天然記念物。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。→マナティー

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「ジュゴン」の解説

ジュゴン
学名:Dugong dugon

種名 / ジュゴン
科名 / ジュゴン科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 人魚のモデルといわれています。岸近くにすみ海底のアマモなどの海草を食べます。
体長 / 2.4~3m、最大3.3m
体重 / 250~420kg、最大900kg
食物 / 海草、海底の植物
分布 / インド洋、太平洋の熱帯や亜熱帯の沿岸南西諸島が北限
絶滅危惧種 / ☆
天然記念物 / ☆

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デジタル大辞泉プラス 「ジュゴン」の解説

ジュゴン

ゲームソフト、アニメ「ポケットモンスター」シリーズに登場するキャラクター。あしかポケモン、「みず・こおり」タイプ、高さ1.7m、重さ120.0kg。特性は「あついしぼう」「うるおいボディ」、かくれ特性は「アイスボディ」。進化前は「パウワウ」。

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世界大百科事典(旧版)内のジュゴンの言及

【カイギュウ(海牛)】より

…カイギュウ目Sireniaに属する哺乳類の総称。現在よりも過去に繁栄した動物で,現生種はジュゴン1種とマナティー3種の計4種だけである。体は紡錘形で,前肢はひれ状,後足は退化して見えない。…

【人魚】より

…多くは上半身が人間で下半身が魚であるが,地域と時代によっては逆転することもある。一般に,人魚の正体をジュゴンとするのは,《本草綱目》などの注釈による見解にすぎず,世界各地の人魚伝説を包括するものではない。近世以降では完全に架空の動物だが,それ以前は実在の海獣などに強く結びついており,むしろ身近な生きものと考えられていたようだ。…

※「ジュゴン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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