ジュゴン(英語表記)Dugong dugon; dugong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ジュゴン
Dugong dugon; dugong

カイギュウ目ジュゴン科ジュゴン属。最大体長は約 3.3m,最大体重は約 400kg。出生仔は体長1~1.5m,体重約 20kgである。体色は灰色を帯びた黒色で,腹部は淡色を呈する。幼獣は淡い乳白色である。体型は紡錘形。軟らかい鰭 (ひれ) 状の前肢とクジラ類のように後縁が切れ込んだ尾鰭を有する。鼻面が下方に伸びているために口吻が短く,口唇に剛毛が密集する。鼻孔は弁状で鼻面の上部に2個ある。皮膚はなめらかで短毛が散在する。門歯は上顎4本,下顎6本,犬歯は下顎にのみ2本,前臼歯と臼歯はそれぞれ上顎と下顎に各6本ずつあり,老成個体は前臼歯と臼歯が2~3本消失する。上下顎の門歯と下顎の犬歯は痕跡歯である。6頭以下の小群で行動する。潜水時間は8分程度。周年繁殖を行い妊娠期間は 13~14ヵ月で1産1仔。草食性アマモ類を採食する。インド洋から太平洋西部の熱帯と亜熱帯海域沿岸に広く分布する。絶滅危惧種。人魚のモデルとも考えられている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ジュゴン

アフリカ東岸からインド、豪州、フィリピン沿岸などにかけての浅い海にすむ哺乳類。成獣の体長は約3メートルで、かつては台湾から九州まで生息していたとみられるが、各地で環境悪化などのために絶滅。沖縄のジュゴンは世界北限の孤立した個体群となった。環境省のレッドリストでは絶滅の恐れが最も高い「絶滅危惧1A類」。国際自然保護連合(IUCN)が過去3回、ジュゴンなどの保全を求めて日本政府に勧告を出している。

(2017-09-01 朝日新聞 朝刊 1社会)

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百科事典マイペディアの解説

ジュゴン

ザンノイオとも。カイギュウ(海牛)目ジュゴン科の海生哺乳(ほにゅう)類。分類上はゾウなどに近い。雄は体長2.5m前後であるが,雌はやや小さい。皮膚は硬く青灰色。紅海〜モザンビーク北部,インド,台湾,南西諸島,オーストラリア北岸などに分布。浅海に1〜数頭ですみ,海草を食べる。妊娠期間12〜14ヵ月,1腹1子。肉は美味で,マレー地方では食用にされた。前肢で子を胸にだき,乳を飲ませる姿が人間に似るといわれ,これから人魚が想像されたともいわれる。天然記念物。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。→マナティー

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デジタル大辞泉プラスの解説

ジュゴン

ゲームソフト、アニメ『ポケットモンスター』シリーズに登場するキャラクター。あしかポケモン、「みず・こおり」タイプ、高さ1.7m、重さ120.0kg。特性は「あついしぼう」「うるおいボディ」、かくれ特性は「アイスボディ」。進化前は「パウワウ」。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジュゴン
じゅごん / 儒艮
dugong
[学]Dugong dugon

哺乳(ほにゅう)綱海牛目ジュゴン科の海産動物。沖縄ではザンノイオ、アカンガイユともよばれる。インド洋、太平洋地域の浅海に生息し、南西諸島は分布の北限である。体は紡錘形で、尾びれは鯨類と同じ三日月形をしており、後肢はなく、前肢はひれ状、この付け根に1対の乳頭がある。目は小さくその後方に耳孔があるが耳殻はない。最大は体長3メートル、体重400キログラムに達するが、通常は2.5メートル前後、250~300キログラムである。体色は青みがかった灰色から褐色がかった灰色と変化がある。大きく円盤状に発達した上唇はブタの鼻鏡を思わせ、上下の唇には洞毛という太い感覚毛が密生しており、よく動く唇と洞毛で餌(えさ)の植物の選別もし、また口中に取り込む。本種の鼻口部、顔つきはなんとも名状しがたいものである。白い細毛と太く短い洞毛が全身にまばらに生えている。1対の鼻孔は上唇の後上方についている。餌はヒルムシロ科、トチカガミ科などの海産種子植物である。肉は美味で不老長寿の効果があると信じられていた。昔は沖縄に相当数のジュゴンがいて、八重山(やえやま)列島から琉球(りゅうきゅう)王に上納された。沖縄にはジュゴンにまつわる民謡や民話が数多くある。人魚伝説のモデルといわれているが、日本の人魚の源は深海魚のリュウグウノツカイとする説もある。ジュゴンは少数ながら現在でも沖縄諸島に生息が認められ、1982年(昭和57)3月に沖縄本島東海岸に死体が漂着している。国の天然記念物。[内田詮三]

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