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ジーンバンク gene bank

翻訳|gene bank

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジーンバンク
じーんばんく
gene bank

生物多様性の保全とともに、農産物や医薬品などとして活用するため、ヒトや動植物、微生物の遺伝資源を収集し、人工的な管理によって保存、供給する仕組みのこと。遺伝子銀行ともいう。ジーンバンクでは、近代品種の普及や自然破壊などの影響により、急速に失われていく遺伝資源を世界中で探索し、植物の種子や動物の生殖細胞、微生物の形態的特徴や培養性状、病原性などを調査したうえで、その種子や栄養体、動物の生殖細胞、微生物そのものなどを長期保存に適した方法で保管している。たとえば、配布用種子は温度がマイナス1℃、相対湿度30%に保たれた種子貯蔵庫に保管され、生殖細胞などの場合は液体窒素でマイナス196℃に保たれた保管庫で管理されている。植物の種子だけを保存している種子銀行seed bankはジーンバンクの一種である。このようにして保存されている遺伝資源は、多様性解析や育種開発などの研究や教育の目的で利用されている。
 日本では1953年(昭和28)に農林省(現、農林水産省)による主要作物の育種材料研究室が設置され、1966年に農業技術研究所遺伝資源種子保存庫が建設されたことがジーンバンクの原点である。その後、1985年に農林水産省ジーンバンク事業がスタートし、全国的な分野別のネットワークのもとで、植物、微生物、動物部門から実施されることになった。1993年(平成5)に同事業にDNA部門が加わる。2001年(平成13)に農業生物資源ジーンバンク事業に改組。独立行政法人農業生物資源研究所をセンターバンクとして、植物、微生物、動物、DNAの4部門からなる組織となり、全国にサブバンクが設置された。2016年4月、農業生物資源研究所が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)に統合されたことに伴い、農業生物資源ジーンバンク事業は、同機構の遺伝資源センターに引き継がれた。2015年時点で保存されている遺伝資源は、イネやムギ、マメ、果樹など約22万4000点、細菌やウイルスなど約3万2500点、家畜や家禽(かきん)、昆虫など約1900点、イネ・ブタなどのDNA情報約90万9000点となっている。
 このような遺伝資源は一度失われてしまえば同じものを入手することは困難である。世界各地では、次世代のために保存した過去のものの遺伝子を用いて、農作物や医薬品の開発に役だてようとする国連を中心としたプロジェクトをはじめ、絶滅した動植物の復活を図ろうとするといった活動が進んでいる。近年、日本各地で一度とだえた地域特有の在来野菜を再生産する取組みがみられるが、ここでもジーンバンクに保存されていた農作物の種子が重要な役割を果たしている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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