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遺伝資源 イデンシゲン

デジタル大辞泉の解説

いでん‐しげん〔ヰデン‐〕【遺伝資源】

遺伝の機能を備えた生物由来の素材。医薬品・食品・材料・エネルギー・環境など幅広い分野で研究・産業に利用される。将来利用される可能性があるものや、人類にとって潜在的な価値を有するものも遺伝資源に含まれ、地球上のほぼすべての動植物や微生物が遺伝資源を有する。→ABS

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

遺伝資源

生物多様性条約では「現実のまたは潜在的な価値を有する遺伝素材」と定められ、動植物の細胞や個体そのものなどを指す。生物由来成分からの新薬の開発や、生物を使った発酵手法、環境浄化技術などが遺伝資源の利用にあたる。DNAの配列情報そのものは遺伝資源と見なされず、ヒトの遺伝資源は条約の対象外とされている。

(2016-02-04 朝日新聞 朝刊 科学1)

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大辞林 第三版の解説

いでんしげん【遺伝資源】

生物種のもつ遺伝情報のこと。遺伝子工学の発展に伴い、多くの遺伝子が有用物質の生産、農作物の改良などに実用価値をもつところから、資源として認識していう語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遺伝資源
いでんしげん

生物の遺伝変異を資源としてみることで、遺伝子資源ともいわれる。生物の遺伝変異は、有用な作物や家畜をつくりだすうえで、必要な遺伝子の給源として人類にとって重要な資源の役割をしている。さらに、生物自体にとっても、次々におこる環境の変化に適応するための、新たな遺伝的変異体をつくりだすために必要な資源でもある。
 地球上の生物の遺伝変異は、太古から現在までの長い間にわたっておこった突然変異と、自然淘汰(とうた)や人による選択などによる適応的淘汰の結果蓄積されたもので、一朝一夕の間に自由につくりだせるものではない。そのため遺伝資源は貴重な地球上の資産であり、荒廃をもたらすことなく、次の世代に引き継ぐ責務があると考えられるようになった。一般に作物や家畜の在来種や近縁の野生種のなかには、耐病性や不良環境に耐える遺伝的性質をもったものが多く、育種の素材として有用であるが、科学技術の発達に伴って、大規模な開発による生態系の破壊ばかりでなく、少数の優秀な改良品種の広範な普及が、かえって多様な在来品種を放棄させる結果となり、遺伝資源の消滅を引き起こしていることも注目される。
 このような危機感から、1960年代に入って遺伝資源の保全の必要性が強く認識されて、国際的にも、国内的にもその対策が講じられるようになってきた。すなわち、作物の在来種や近縁野生種の探索、収集が広く行われ、有用植物の種子貯蔵庫の整備、在来家畜の保護、生態系の保全などの施策とともに、超低温による生殖質の貯蔵法や、培養系などによる貯蔵法などの貯蔵技術の研究が行われている。また利用の面では、これらの遺伝資源について行った各種の特性の評価の多くがデータベース化され、それぞれの保存施設の出版物や、インターネットを通じて公開されており、容易に閲覧することができ、必要とする者に利用できるような体制がつくられている。[井山審也]

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