デンマークの解剖学者、地質学者、神学者。ステノはラテン語名であり、デンマーク語ではステンセンNiels Stensen。コペンハーゲンに生まれ、コペンハーゲン大学で医学を学び、1659年アムステルダムに遊学したのち、ライデン大学で学位を得た(1664)。1662年解剖学の研究の成果として唾液(だえき)管(ステノ管)を発見してこれを記載した。涙腺(るいせん)の構造・機能にも精通していたほか、筋肉についても研究し、心臓が筋肉よりなっていることを初めて確かめた。1665年イタリアに行き、フィレンツェでフェルディナント2世の侍医となり、1667年にカトリック教に改宗した。さらに同地でサメに関する研究を行い、サメの歯の比較研究から地質学の研究へと進み、1669年地質学における地層累重の法則の基礎となる事実を発見して近代地質学の端緒をつくった。1672年帰国してコペンハーゲン大学解剖学教授となったが、宗教的理由からドイツに移り、1675年司祭となり、1677年「ティティオポリスの僧」の称を与えられ、その後は北ドイツとスカンジナビアの司教代理としてドイツに住んだ。
[大鳥蘭三郎]
デンマーク生れの解剖学者,地質学者,鉱物学者で神学者。コペンハーゲンの金細工師の家に生まれた。デンマーク語の名はステンセンNiels Stensenで,〈ステノ〉は,当時の知識人の習慣でラテン語化したもの。コペンハーゲン大学で医学を学び,オランダのライデン大学で学位を得る。フランス,ドイツ,イタリアにも学び,解剖学上の業績で知られた。1664年フィレンツェの宮廷に招かれ,以後2,3年ごとにデンマークと往復して宮廷医師として勤めた。66年サメの頭骨を解剖して,当時その形から舌石glossopetra(天狗のつめ)と呼ばれていたものがサメの歯の化石であることを知り,古生物学,地質学に進む。69年《固体の中に自然に包まれている固体について》を発表,地層の形成を論じ,層位学の基礎である〈地層累重の法則〉を説き,またトスカナ地方の地層と地形の発達を6段階にまとめた。水晶の結晶についても述べ,〈面角一定の法則〉を明らかにした。その後は,すでに改宗していたカトリックの宗教家として,主としてイタリアとドイツで活躍し,自然科学の研究からは遠ざかった。
執筆者:清水 大吉郎
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Steno, Nicolaus
1638.1.10~86.11.26 一般にステノで通っているが,本名はNiels Stensen。デンマークのコペンハーゲンに生まれ,コペンハーゲン大学で医学を学び,オランダ,ドイツ,フランスを旅行。1665年フェルディナンド2世の侍医としてフィレンツェに行き,長く滞在して医学・地質学を研究。『De solido intra solidum naturaliter contento dissertationis prodromus』(1669)で,始原海水から一次的に析出した始原岩層と後生的な二次岩層を識別,上下の地層の新旧関係を成因的に考察して累重の法則の基礎をつくり,地層は本来水平に堆積するという前提からトスカナ地方の地史を6段階に分けて説明した。また水晶の結晶を研究し,面角一定の規則性を認めた。地質学の体系の基礎をつくった最初の人。
執筆者:今井 功
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…したがって,現在では結晶のもつ対称の種々の様相を数学的な手法によって研究する分野が結晶学とよばれている。 結晶が自然科学の研究対象となり始めたのは17世紀中ごろからで,デンマークのN.ステノは水晶などの結晶について,面角一定の法則を発見した(1669)。同じころ,イギリスのR.フックは,結晶は超顕微鏡的に小さい構成単位が,規則正しく繰り返して配列してできているという予想を発表し,この考えはその後の研究者にも受け継がれた。…
…化石の成因に関して,イタリアではレオナルド・ダ・ビンチが生物起源のものが地層に化石として残される過程を具体的に観察し記述している。その後17世紀に,コペンハーゲン生れでイタリアでほとんどを過ごしたN.ステノは地層の形成に関して次のような観察を行っている。(1)堆積層は固まった基盤の上に形成される,(2)したがって下の基盤層は新規の堆積の始まる前に固結していなければならない,(3)一つの層は地表をすべて覆っているか,または他の層によって局限されて分布する,(4)一連の堆積が継続中はそこに水が存在して沈殿が行われるのであるから,その下にある地層は上のものより古い。…
※「ステノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...