ロシアの物理化学者。1917年ペトログラード(のちのレニングラード、現、サンクト・ペテルブルグ)大学卒業。1928年レニングラード工科大学教授。1931年よりソ連科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)化学物理研究所所長、1944年よりモスクワ大学教授を兼任。1932年よりソ連科学アカデミー会員で、1963~1971年アカデミー副総裁。化学物理学の創始者の一人。旧ソ連におけるこの分野の多くの研究者を育てた。1927~1928年、爆発反応で熱爆発のほか連鎖爆発が存在することを提唱し実験的に証明。さらに分枝型と非分枝型の連鎖反応の一般理論をつくった。これらの研究で1956年イギリスのヒンシェルウッドとともにノーベル化学賞を受賞。その後も、多数の連鎖反応、ラジカル反応の反応機構を解明した。こうした反応速度論研究で1976年レーニン賞を受賞した。
[梶 雅範]
ロシアのコサック将校。反革命軍指導者。ブリヤーチア出身。第一次世界大戦に参加し、1917年の二月革命後、義勇軍編成のためザバイカル州に派遣され、同年の十月革命後は日本軍の援助のもとで反ソビエト・コサック軍を指揮した。18年夏、ザバイカル州で軍事政権を樹立、のちコルチャーク政権からチタ軍管区総司令官に任命された。20年1月、コルチャーク政権崩壊後はその政権を受け継いだが、日本軍のザバイカル州からの撤兵とともに勢力を失い、21年、日本に亡命。その後、満州(中国東北)で反ソビエト活動を続けたが、45年の日本の敗戦とともにソ連軍に逮捕され、処刑された。
[藤本和貴夫]
ロシアの反革命派の軍人。ザバイカルのコサックの出身で,一等大尉。ロシア革命直後,〈満州特別部隊〉と称する白衛軍組織を編成してザバイカル州の革命勢力と対決した。その活動に着目した日本の参謀本部は武器と資金を提供し,軍事顧問団を派遣するなど,密接な関係をもった。1918年8月に連合国の本格的なシベリア軍事干渉が開始されると,日本軍の支援のもとにザバイカル州に反革命地方政権を樹立し,州民に対して苛酷な軍事独裁体制をしき,他方コルチャークの反革命軍事独裁政権とも対立した。1920年初頭にコルチャーク政権が崩壊したのちもチタ地方に居すわったが,同年秋に極東共和国人民革命軍に敗北し,そのころまでに日本の支持も失い,その政権は崩壊した。以後,国外に亡命して反ソ活動を続けた。第2次世界大戦の末期に中国東北に進駐したソ連軍によって逮捕され,のち処刑された。
執筆者:原 暉之
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ロシアの物理化学者.1917年ペトログラード大学卒業.1920年レニングラード物理工学研究所に勤務したのち,1931年ソ連科学アカデミー化学物理研究所所長.1932年ソ連科学アカデミー正会員となり,1944年からモスクワ国立大学教授も兼任し,ソ連科学アカデミー副総裁も務めた(1963~1971年).旧ソ連での化学物理学を創始し,多くの後継者を育てた.爆発反応で熱爆発のほか連鎖爆発が存在することを提唱し,実験的に証明した(1927~1928年).さらに分枝型と非分枝型の連鎖反応の一般理論をつくった.これらの研究で,1956年イギリスのS.C.N. Hinshelwood(ヒンシェルウッド)とともにノーベル化学賞を受賞.その後も,多数の連鎖反応,ラジカル反応の反応機構を解明した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
1890~1946
ザバイカル出身のロシアのカザーク将校。十月革命直後反革命軍を組織し,日本の支持を受けて1918年5月ザバイカル政府を樹立した。20年10月,革命軍に追われ国外へ逃れた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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…こうして反革命の主役は帝政派の軍人となった。コルチャークは沿海州で日本の支持を受けて勢力を張っていたセミョーノフをも一応指揮下におさめ,全シベリアの支配者としての地位を固めたうえで,19年3月,ウラルから西に向けて総攻撃を開始した。4月にはカザン,サマラに80kmの地点まで進出する。…
※「セミョーノフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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