セム語族(読み)セムごぞく(英語表記)Semitic languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

セム語族
セムごぞく
Semitic languages

アラビア語ヘブライ語を含む一大語族。北セム語と南セム語とに大別され,前者は北東セム語 (アッカド語) と北西セム語 (ヘブライ語やフェニキア語を含むカナーン語アラム語など) に,後者は南東セム語 (南アラビア語,エチオピア諸語) と南西セム語 (アラビア語) に,それぞれ細分される。セム語族に一般にみられる特徴として,3子音から成る語根が多いこと,動詞の活用体系が発達していることなどがあげられる。ハム諸語とともにハム=セム語族 (→アフロ=アジア語族 ) を形成するといわれることが多いが,言語学的に完全に証明されているわけではない。

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百科事典マイペディアの解説

セム語族【セムごぞく】

古代のメソポタミア,シリア・パレスティナ,アラビア半島,エチオピア,現代ではさらにアフリカ北岸からチャド湖に達する地域まで広がる大語族。Semitic。資料は前3000年にさかのぼる。古代では北東セム語(アッカド語),北西セム語(カナン語群,アラム語群),南セム語(アラビア語ゲエズ語)の各語派がある。現代では,イラクからモロッコにかけて話されるアラビア語各方言,イスラエルの現代ヘブライ語(ヘブライ語),アラビア半島南部の南アラビア語,エチオピアのアムハラ語,ティグリニヤ語等がある。旧約聖書《創世記》で,ノアの息子セムが,アッシリア人,アラム人,ヘブライ人,アラブ人の祖先とされていることにちなんでこれらの人びとの総称としてセムの名が使われ,のちに語族名に転用された。→ハム・セム語族
→関連項目語族ハム語ヒッタイト語ベルベル諸語マルタ語

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世界大百科事典 第2版の解説

セムごぞく【セム語族 Semitic】

セム語ともいう。このセムという名称は,《創世記》10~11章で,ハム,ヤペテとともにノアの息子であるセムが,いわゆるアッシリア人,アラム人,ヘブライ人,アラビア人等の先祖とされていることから,これら諸民族の総称として1781年にドイツの学者A.L.vonシュレーツァーが採用したものである。それが語族名に転用され,上記諸民族の語った言語だけでなく,それらと同系と見られる言語をも含めることになった。セム語族のうち現在も話されているのはヘブライ語,アラム語,エチオピア語,アラビア語であるが,過去5000年以上にもわたって粘土板,石,金属,パピルス獣皮,紙等さまざまの素材に書かれた豊富な資料,とくに世界三大宗教発祥の地にふさわしく,多くの宗教文書が残っている。

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世界の主要言語がわかる事典の解説

セムごぞく【セム語族】

アフロアジア語族に属する語派の一つであるが、従来、セム語族と言われることが多い。西アジアから東アフリカにかけて分布し、過去5000年以上にわたる諸民族と文明の歴史を刻んだ豊富な言語資料をもつ。北東セム語派(メソポタミア地方が中心で、最古のセム語であるアッカド語が属し、北のアッシリア語と南のバビロニア語の2方言に分かれる)、北西セム語派(シリアとパレスチナ地方が発祥地で、ウガリト語ヘブライ語・フェニキア語・アラム語などが代表的な言語)、南セム語派(アラビア半島が発祥地で、アラビア語・南アラビア語・エチオピア諸語からなる)の3グループに大別される。このうち、ヘブライ語、アラム語、アラビア語、エチオピア語が現在でも話され、ヘブライ語とアラビア語はそれぞれユダヤ教とイスラム教の言語として、世界各地で使われている。セム諸語では、単語を、基本的意味を与える子音だけの語根と、文法的意味を与える接辞・母音の型とを組み合わせてつくるのが特徴である。ヘブライ文字もアラビア文字も子音字だけからなるが、いずれもフェニキア文字を起源とする。◇英語でSemitic。

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