タイプ理論(読み)タイプりろん(英語表記)theory of types

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タイプ理論
タイプりろん
theory of types

初期の集合論にみられたパラドックス,「すべての順序数の集合」に関するチェザーレ・ブラリ=フォルティのパラドックス,「すべての集合の集合」に関するゲオルク・F.L.P.カントルのパラドックスなどを避けるためにバートランド・A.W.ラッセルが提唱,導入した概念。階型理論ともいう。ラッセルは「自己自身をメンバーとしないすべての集合の集合」という叙述に含まれる,自己否定を含む全体という観念によるパラドックスを解決するには「すべての集合を含むものは,その集合の一つであってはならない」という循環論法の原理を守ればよいとした。この矛盾を排除するためにたてた理論がタイプ理論である。すなわち,ある Xが有意味であるような対象の領域を限定して,これをタイプ(階型)と呼び,直接の対象である個物を第1のタイプ,個物の集合(関数)を第2のタイプ,集合の集合を第3のタイプとし,タイプの異なるものを混同してはならないとした。このタイプ理論はラッセル自身によってほかの意味論的・認識論的パラドックス(エピメニデスの嘘つきのパラドックスや,ベリーのパラドックス)にも適用され,のちの数学基礎論や意味論に影響を与えた。(→逆理

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

タイプりろん【タイプ理論 theory of types】

B.A.W.ラッセルが1901年に発見したいわゆる〈ラッセルのパラドックス〉を解決しようとして提出した理論(1908)と,その単純化,制限の解除,および変形の総称。階型理論ともいう。大ざっぱにいえば,ある言語に登場する名辞は一般に階層組織を持ち,ある階層に属する名辞にはそれよりも高い階層の名辞しか帰属しないという思想にもとづいて論理学と数学の言語を再構成し,その言語中ではパラドックスが生じないようにする理論である。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のタイプ理論の言及

【パラドックス】より

…これは順序数や基数の概念も必要としない純粋に論理的なパラドックスで,以後の論理学と数学基礎論の発展に大きな影響を与えた。このパラドックスをラッセルはタイプ理論によって解決したが,公理論的集合論を構成してその中に矛盾が生じないようにして解く方法も案出された。【中村 秀吉】。…

【ラッセル】より

…これはのちの論理学,数学基礎論,意味論の動向に大きな影響を及ぼすものであった。ラッセルはタイプ理論の案出によってこのパラドックスを解決し(1908),師A.N.ホワイトヘッドとともに大著《プリンキピア・マテマティカ》(1910‐13)を著して数理論理学と数学を論理学に還元する論理主義の金字塔を建てた。一方,いわゆる〈記述〉理論を発表して(1905),見かけ上の主語‐述語形式言明を存在言明におきかえる方策を案出,これをもとに存在の種類をできるだけへらす唯名論的な存在論を完成せんとした。…

※「タイプ理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

ダイバーシティ

ダイバーシティとは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方のこと。 もとは、社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われることが多かったが、現在は性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android