たむしば(読み)タムシバ

デジタル大辞泉 「たむしば」の意味・読み・例文・類語

たむしば

モクレン科の落葉小高木。山地に生え、葉は細長い。早春、葉より先にコブシによく似た白い大きい花を開く。本州四国九州分布。主に日本海側に多い。

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精選版 日本国語大辞典 「たむしば」の意味・読み・例文・類語

たむしば

  1. 〘 名詞 〙 モクレン科の落葉小高木。本州、九州の特に日本海側の山地に生える。幹は直立し、葉は互生で有柄。広披針形または卵状長楕円形で、先端は鋭く尖り長さ六~一二センチメートル。裏面白色を帯びる。春、枝先に径七~一〇センチメートルの白色花を一個ずつつける。花弁は普通六枚。萼片は三枚で花弁状。コブシによく似るが、花の時期に花柄のもとに緑色の小葉がつかないので区別できる。果実は袋果が集まったもので、秋に熟す。葉をかむと甘味があるので、サトウシバ、カムシバの名がある。タムシバはカムシバの転とも。〔日本植物名彙(1884)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「たむしば」の意味・わかりやすい解説

タムシバ
たむしば
[学] Magnolia salicifolia (Sieb. et Zucc.) Maxim.

モクレン科(APG分類:モクレン科)の落葉低木または小高木。ほかの木々が冬枯れしたままのころ、葉の展開に先だって開花し、早春の山を真っ白に埋め尽くし、春の農作業の目安とされる。コブシによく似ているため、タムシバの分布域(関東地方を除く本州、四国および九州)でも、コブシと通称される場合が多い。しかしタムシバは、花弁が純白色で基部は黄緑色のことが多く、萼片(がくへん)は花弁の2分の1ほどの長さで、主幹がまっすぐであるなどの特徴があり、コブシと区別できる。また葉は卵状披針(ひしん)形で長さ7~15センチメートル、先はとがり、裏面が粉白色を帯びるなどの点でも、コブシとは違う。おもに山腹から尾根に自生し、平坦(へいたん)地や沢筋に多いコブシとは生育地を異にする。植物体にクスノキ科(APG分類:クスノキ科)のクロモジに似た強い香りがあることから、ニオイコブシともいう。つぼみは漢方の辛夷(しんい)の代用となる。

[植田邦彦 2018年8月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「たむしば」の意味・わかりやすい解説

タムシバ(田虫葉)
タムシバ
Magnolia salicifolia

モクレン科の落葉高木で,カムシバ (噛柴) ,サトウシバなどの別名がある。本州,九州,四国に分布し,西日本や日本海側の山地に多い。幹は直立し,高さ 2mぐらいでまばらに分枝する。樹皮は灰色で平滑。披針形ないし卵状披針形の葉が互生し,早春に,大きな白色花を各枝先に1花ずつつける。花弁は6枚,萼片は3枚でともに白色,おしべ,めしべは多数ある。コブシの花によく似ているが,やや長く,また萼片と花弁の区別がコブシのようには明瞭でない。果実は袋果で多数が集り,楕円体になる。

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