日本大百科全書(ニッポニカ) 「チタン鉄鉱」の意味・わかりやすい解説
チタン鉄鉱
ちたんてっこう
ilmenite
チタンの鉱石鉱物の一つ。鉱石として利用できるものは、正マグマ性鉱床、漂砂鉱床(砂鉄)中に産し、磁鉄鉱と密接に共存する。ほかに塩基性岩~花崗(かこう)岩質ペグマタイト、中~高温熱水鉱床中に産するほか、各種火成岩、変成岩中に少量成分として産する。月面に産する高Ti玄武岩のTiO2量の大部分はチタン鉄鉱による。自形は六角板状。日本では、大阪府茨木市銭原(ぜにはら)で径10センチメートルを超えるものを産した。花崗岩質ペグマタイト中のものはマンガンを含み、キンバレー岩や月面岩石中のものはマグネシウムを含むものが多い。
[加藤 昭]