改訂新版 世界大百科事典 「斜長岩」の意味・わかりやすい解説
斜長岩 (しゃちょうがん)
anorthosite
主として斜長石よりなる岩石。先カンブリア時代の初期(約35億年前)から中期(約12億年前)に形成されたものが大部分で,新しい年代のものは非常に少ない。アポロ計画による月探査の結果,月の高地を構成する岩石は斜長岩であることがわかり,地球や月の初期の地殻形成に重要な役割をもっていたと考えられている。地球上には,(1)南アフリカのブッシュフェルト貫入岩体のような層状分化岩体の一メンバーとして産するもの,(2)大きな底盤状塊状岩体として産するもの(たとえば北アメリカのアディロンダック岩体),(3)先カンブリア時代初期の高度変成岩中に層状に産するもの(グリーンランドのフィスケネセト岩体など)の三つのタイプがある。(3)のものは,形成年代,化学組成などの点で月の斜長岩と類似している。
執筆者:小松 正幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報