学童期にみられる小児心身症の一つ。チックが継続する障害である。4~10歳ころに発症し、男子に多い傾向にある。症状は成長につれてみられなくなる。便宜的に筋の不随意運動に由来する運動性チックと、発声や言語の特徴による音声チックに分けられる。運動性チックは、顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返し、まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ、舌鼓、鼻すすり、体の後方反らし、拍手などの動作が認められ、反復される。音声チックは、不規則な発声、叫び声、無意味な言語、反復言語、汚言(いうのがはばかられるようなことばを繰り返す)、反響言語(おうむ返し)などがみられる。こうした症状が1年以内になくなるものを一過性チック、運動性か音声チックのいずれかが1年以上続くものを慢性チック、両方が1年以上続くものは、最初にチックを記載したフランス人医師トゥレットGeorges Gilles de la Tourette(1857―1904)の名を冠してトゥレット症候群とよばれる。原因は、不随意運動と筋緊張異常がみられるために錐体(すいたい)外路系の運動障害とも考えられるが、多くは心理的なストレスによるものとされる。
[編集部]
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