癲癇(読み)テンカン

デジタル大辞泉 「癲癇」の意味・読み・例文・類語

てん‐かん【××癇】

大脳神経細胞が過剰に活動することによって、発作的な痙攣けいれん意識障害などを反復する状態遺伝的素因または外傷腫瘍しゅようなどさまざまな原因によって起こる慢性の脳疾患。突然意識を失って倒れる大発作ほか、瞬間的に意識を失う小発作、急に無意味な動作を始める精神運動発作頭痛吐き気などの起こる自律神経発作がみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「癲癇」の意味・読み・例文・類語

てん‐かん【癲癇】

  1. 〘 名詞 〙 発作的に起こる意識障害と全身の痙攣(けいれん)を主症状とする脳の機能障害。突然意識がなくなって倒れ、手足を痙攣させるが、しだいに回復して睡眠状態に移行する。素質によると考えられる真性癲癇(原発癲癇)と、出産時傷害などの脳器質損傷による症候性癲癇(続発癲癇)とがある。薬の服用でほとんどの発作は抑制でき、日常生活に支障はない。癲疾てん。〔文明本節用集(室町中)〕 〔病名彙解(1686)〕 〔心法‐活套

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百科事典マイペディア 「癲癇」の意味・わかりやすい解説

癲癇【てんかん】

慢性脳疾患の一つ。脳の過剰なニューロン発射による発作的に出現する意識障害痙攣(けいれん)を主症状とする疾患(WHOの定義,1973年)。原因不明の真性(特発性)癲癇と,出産時の脳損傷や,脳腫瘍(しゅよう),外傷,動脈硬化等の各種脳疾患などが原因の症状性癲癇に分類される。症状は一般に大発作,小発作,精神運動発作の3症型に分けられる。大発作では,突然の意識消失と全身の筋強直を呈し,次いで間代性痙攣が出現する。痙攣は数分以内に消失し,徐々に意識は回復するが,そのまま睡眠に移行することもある。発作中は倒れて外傷を受けたり,舌の咬傷(こうしょう),尿失禁などを起こしやすい。小発作は,ごく短時間の意識消失で,全身痙攣はない。精神運動発作はもうろう状態などの発作的精神的異常状態で,数時間,時に数日にわたる意識障害,不安,妄想(もうそう),興奮などを呈する。癲癇は慢性に経過し,一般に予後は不良。診断には脳波検査が重要。治療には,発作のタイプに応じてフェノバルビタール,プリミドン,トリメタジオン,バルプロ酸などの抗痙攣薬を対症的に用いる。これによって,発作を起こさなくてすむ例が多い。症状性癲癇には原因療法が行われる。
→関連項目錯乱失神電気ショック療法脳磁図ひきつけフェノバルビタールメプロバメートめまい朦朧状態

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