ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティンベルヘン」の意味・わかりやすい解説
ティンベルヘン
Tinbergen, Jan
[没]1994.6.9. アムステルダム
オランダの計量経済学者。ティンバーゲンともいう。ライデン大学で物理学,アムステルダム,オスロ大学などで経済学を学び,1929年オランダ中央統計局に勤務,45年以降同局長。この間 33年以来ロッテルダム経済学院の計量経済学教授を兼任。国際連合,国際復興開発銀行,経済計画に関する政府諸機関などで計量経済学のうえで指導的役割を果す。世界的に有名となったのは 1930年代末発表された一連の景気循環の計量経済学研究,すなわち"An Econometric Approach to Business Cycle Problems" (1937) ,"Business Cycles in the United States of America,1919~1932" (39) による。また『経済政策の理論』 On the Theory of Economic Policy (52) においては計量経済学的接近法を体系化し,新しい科学的経済政策理論のあり方を論じた。『計量経済学』 Econometrics (51) は計量経済学の入門書として定評がある。 55年以降オランダ経済大学教授,オランダ経済研究所長を歴任,68~73年には国連開発計画委員会委員長としてティンベルヘン報告を発表。経済過程分析のための動態的モデルの開発・応用により 69年 R.フリッシュとともに最初のノーベル経済学賞を受賞した。上記のほか『世界経済の形成』 Shaping the World Economy (62) ,『国際経済政策』 International Economic Integration (65) ,『開発計画』 Development Planning (67) など著書多数。
ティンベルヘン
Tinbergen, Nikolaas
[没]1988.12.21. オックスフォード
イギリスの動物学者。動物行動学確立者の一人。オランダに生れ,ハーグ,ウィーン,エール各大学に学ぶ。 1932年ライデン大学で学位取得。ライデン大学動物学教授 (1947) 。オックスフォード大学に移り (49) ,教授 (66) 。自然状態で生活している動物を野外観察することを通じて動物の行動を研究し,K.ローレンツとともに,動物行動学ないし習性学と呼ばれる研究分野を開いた。鳥類や魚類を研究対象としたが,特にセグロカモメに関する長期間の研究により,求愛行動などの機構を解明したのは有名である。一見複雑な行動も,刺激に対する単純な反応が組合わさったものとして理解できることを示した。動物行動学の確立に対し,73年,ノーベル生理学・医学賞を与えられた。
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