デカリン(その他表記)decalin

デジタル大辞泉 「デカリン」の意味・読み・例文・類語

デカリン(decalin)

デカヒドロナフタレン通称。二つの六員環がつながったメタン系炭化水素アルカン)の一種水素立体配置により、二つの光学異性体が存在する。ナフタレン水素化することで得られる。化学式C10H18

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改訂新版 世界大百科事典 「デカリン」の意味・わかりやすい解説

デカリン
decalin


脂環式炭化水素の一つ。デカヒドロナフタレンの略称テトラリンの接触水素化

によって得られ,シスおよびトランスの二つの異性体が存在する。

 シス-デカリンは,融点-43.1℃,沸点195.77℃,トランス-デカリンは,融点-30.4℃,沸点187.25℃。いずれも無色液体で,メントール様の微臭を有する。シス体とトランス体の相違は,2個のいす形シクロヘキサン環が共有する二つの炭素原子結合様式の違いに基づく。すなわち,シス体では,一つの環から他の環への結合にはエクァトリアル(赤道)結合とアキシアル(軸)結合が各1個用いられ,これに対しトランス体では,二つのエクァトリアル結合が用いられている。トランス体のほうがシス体よりやや安定であり,トランス-デカリン型の骨格ステロイドの分子構造中にもみられる。おもに,種々の有機化合物に対する溶剤として用いられる。
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化学辞典 第2版 「デカリン」の解説

デカリン
デカリン
decalin

decahydronaphthalene.C10H18(138.24).二環性の脂肪族炭化水素.シスおよびトランスの異性体が知られている.高圧下に白金触媒を用いてナフタレン水素添加すると両異性体の混合物が得られ,精密蒸留によって分離される.trans-デカリンは融点-33 ℃,沸点185 ℃.0.870.1.4811.cis-デカリンは融点-45 ℃,沸点194 ℃.0.896.1.4691.環縮合位置のH原子がトランスかシスかによって区別され,トランス形のものは環の反転ができないが,シス形は反転が可能である.シス形はトランス形よりも不安定で,塩化アルミニウムと加熱するとトランス形に異性化する.溶剤や潤滑油に用いられる.市販品はシスおよびトランスの混合物である.[CAS 91-17-8]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デカリン」の意味・わかりやすい解説

デカリン(データノート)
でかりんでーたのーと

デカリン
シス‐デカリン

 分子式 C10H18
 分子量 138.3
 融点  -43.1℃
 沸点  195.77℃
 比重  0.8963(測定温度20℃)
 屈折率 (n)1.4810

トランス‐デカリン

 分子式 C10H18
 分子量 138.3
 融点  -30.4℃
 沸点  187.25
 比重  0.8963
     (測定温度20℃)
 屈折率 (n)1.4695


デカリン
でかりん
decalin

脂環式化合物の一つ。デカヒドロナフタレンともいう。中央の2個の炭素につく水素の立体配置によって、シスおよびトランス形の二つの異性体が存在し、後者が安定形である。ナフタレンを白金触媒の存在下、水素化すると両者の混合物が生成するが、シス形はトランス形に変えることができる。シス形はテトラリンを低温下、水素化すると得られる。両者とも、水に溶けず有機溶媒に溶ける無色液体。脱水素反応でナフタレンになる。油脂、脂肪、ろう、樹脂の溶剤として用いられる。ラッカーや靴、床のつや出し剤に含まれる。

[向井利夫]

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百科事典マイペディア 「デカリン」の意味・わかりやすい解説

デカリン

化学式はC1(/0)H18。無色の液体。シス型とトランス型がある。シス型は融点−43.1℃,沸点195.77℃。トランス型は融点−30.4℃,沸点187.25℃。溶剤として用いられる。ナフタレンまたはテトラリンの水素添加によって得られる。(図)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デカリン」の意味・わかりやすい解説

デカリン
decalin

化学式 C10H18 。デカヒドロナフタリンの略。ナフタリンに水素を添加してつくる。シス体とトランス体があり,ともに無色の液体。沸点はシス体が 195.7℃,トランス体が 187.3℃。溶剤,燃料として使用される。

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