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デュビュッフェ Dubuffet, Jean

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

デュビュッフェ
Dubuffet, Jean

[生]1901.7.31. ルアーブル
[没]1985.5.12. パリ
フランスの画家。 1918年パリでアカデミー・ジュリアンに短期間学んだが,おもに独学で絵を修めた。芸術への不信から絵画に専念できず,一時期絵を放棄し,家業のワイン商に従事したが,48年から再び絵に専念。タール,砂,ガラスなどを絵具に混ぜ,その素材の物質性が迫力ある重厚なマチエールを生み出した。この手法による人間像は落書きか児童画を思わせ,絵画を冒涜するものとして初期にはスキャンダルを招いた。反教育主義という彼の見解はまた精神病者の絵や開発途上国の絵画に関心をいだかせ,それらを「アート・ブリュット (生の芸術) 」の名のもとに多数収集した。 68年頃から立体作品も多数制作。 M.タピエは彼をアンフォルメルの先駆者の一人として位置づけた。

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百科事典マイペディアの解説

デュビュッフェ

フランスの画家。ル・アーブル生れ。1918年パリに出てM.ジャコブ,F.レジェらを知るが,1924年絵筆を捨て,家業のブドウ酒卸業を営んだ。1942年絵画に戻り,1946年に漆喰(しっくい),タール,砂利等で厚く盛り上げた画面を手やスプーンで引っかいた作品を発表。
→関連項目アッサンブラージュアペルクレーラー・ミュラー美術館

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世界大百科事典 第2版の解説

デュビュッフェ【Jean Dubuffet】

1901‐85
フランスの画家。ル・アーブル生れ。1918年にパリに出て短期間アカデミー・ジュリアンに学ぶ。M.ジャコブ,F.レジェらと知り合うが,24年絵画をやめて家業のブドウ酒卸業に従事する。41歳になってから再び絵画に専念し,44年にパリで初個展。50年代に入ってアンフォルメルの運動が高まるや,先駆者の一人として評価を受けた。既成の芸術観念を否定し〈アール・ブリュット〉を唱え,子どもや精神病者の素朴な造形に強い関心をいだいて,47年からその種の作品を収集する。

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大辞林 第三版の解説

デュビュッフェ【Jean Dubuffet】

1901~1986) フランスの画家。子供や精神病者の素朴で無垢な造形に注目し、既製の芸術観を否定する「アール-ブリュト(生の芸術)」を唱え、みずからも砂やアスファルトなど非芸術的な素材を好んで用いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

デュビュッフェ
でゅびゅっふぇ
Jean Dubuffet
(1901―1985)

フランスの画家。ル・アーブルに生まれる。同地の美術学校に学ぶが、1918年パリに出てアカデミー・ジュリアンに入る。しかし6か月学んだだけで独学を決意。文学、音楽、外国語などに多角的な関心をもって青年期を過ごすが、兵役終了後、8年にわたって画業を中断し、家業のぶどう酒商に従事し、1930年に彼自身の商会を設立しベルシーに住む。しかし33年ふたたび絵筆をとり、さらに顔をかたどった仮面や人形を制作。37年から5年間、再度、絵画を放棄してぶどう酒業に専念。第二次世界大戦で気象観測隊に動員され、1942年から完全に画業に専念することとなる。「貴族的な芸術、あるいは礼拝堂の芸術」を否定し、自由な線描、油彩に砂やタールを混ぜた画面にグロテスクな、あるいはユーモアのある人物像などを線で彫り込んだ画風は、大戦後の新たな絵画として多くの批評家にもてはやされた。
 肖像画を「反心理学的、反個人的」と規定し、サハラ砂漠に三度飛行して「妖精(ようせい)的風景」を探求するデュビュッフェは、「文明の枠の外」にある狂気、弱者の芸術として彼の作品を構想し、それらを「アール・ブリュト」L'art brut(生の芸術)と名づけた。その後もポリエステルの彫刻など、自由な材料と自由な技法で、合理的精神の枠外にある人間や大地を表現し続けた。[中山公男]
『針生一郎解説『現代世界の美術21 デュビュフェ』(1986・集英社)』

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世界大百科事典内のデュビュッフェの言及

【アール・ブリュット】より

…〈生(なま∥き)の芸術〉と訳されるフランス語。画家デュビュッフェによって精神病者・子ども・素人芸術家(部分的には素朴画家も含まれる)らの作品を指すために,1947年ころから用いられた。通常の美術概念の枠外で作り出されるそれらの作品は,無意識の世界から自発的に発生してくるとみられる。…

※「デュビュッフェ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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