日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥーラ(ロシア連邦)」の意味・わかりやすい解説
トゥーラ(ロシア連邦)
とぅーら
Тула/Tula
ロシア連邦西部、トゥーラ州の州都。モスクワの南、オカ川支流ウパ川の河岸にある。人口51万3100(1999)。16世紀末以来、ロシアの古い製鉄中心地で、1713年ピョートル大帝により兵器工場が当地に建設された。現在はロシアの工業都市の一つで、鉄鋼、機械(コンバイン、繊維機械、道路工事用機械、ラジオ、スクーター、武器)、軽工業、食品工業が発展している。また、サモワール(ロシア特有の湯沸かし器)、猟銃、バヤン(ロシアの弦楽器)の生産には伝統がある。市は12世紀より知られ、16世紀はタタール人の侵入に対してモスクワを守る防御地点として重要であった。市内に16世紀建造のクレムリン(城塞(じょうさい))、18世紀建立のウスペンスキー寺院が保存されている。市の主要な教育・文化施設は、工科、医科、教育の各大学や兵器博物館。郊外のヤースナヤ・ポリャーナはトルストイの生地で博物館がある。鉄道分岐点で、モスクワとシンフェロポリを結ぶ幹線鉄道、道路が市を経由している。
[中村泰三]