トタン板(読み)トタンイタ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トタン板
とたんいた
galvanized sheet

亜鉛をめっきした薄鉄板をいう。鉄は安価で、適度な強度と加工性があり、もっとも多量に使用されている金属であるが、その構造材としての最大の弱点はさびやすいことである。薄鉄板に亜鉛皮膜を施して耐食性を高めたものがトタン板である。「トタン」はもとはペルシア語で、ポルトガル語から転訛(てんか)したものといわれている。単にトタンともいい、工業的には亜鉛鉄板、亜鉛びき鉄板という。表面を清浄にした薄板を、約450℃に保った亜鉛浴に浸漬(しんし)して亜鉛めっきを行う。鉄と亜鉛の境界面にできる化合物層(FeZn13,FeZn7,Fe5Zn21)は硬くてもろく、板の成形性を害するので、亜鉛に1%以上のアルミニウムを添加してそれを防ぐ。表面の花模様はスパングルspangleという。また、硫酸亜鉛や塩化亜鉛を主成分とする電解液中で電気めっき法で亜鉛をめっきすることも行われている。この方法では、もろい化合物層ができない。浴の選び方によって光沢めっきも行える。亜鉛鉄板は屋根葺(ふ)き、樋(とい)、塀(へい)などに広く利用される。亜鉛めっきの耐用年数はその厚さに直接依存し、1平方メートル当り610グラムの亜鉛をめっきした場合、田園地帯では50年、海岸で35年、都市で25年、重工業地帯で15年という実験結果があるが、めっき技術の向上によってめっき厚さが薄くなっていることや、大気汚染のために、耐久性は低下している。屋内で使用しても白さびを発生する。耐食性を向上させ、白さびの発生を防ぎ、また塗料の密着性をよくするために、クロム酸処理やリン酸塩処理が施され、また合成樹脂塗装を施したり、着色した亜鉛鉄板(カラー鉄板)も量産されている。[須藤 一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

トタン‐いた【トタン板】

〘名〙 薄い鉄板に亜鉛をメッキしたもの。平らな平板と波状に成形した波板とがある。屋根板、(とい)、塀(へい)などに使う。トタン。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉中「亜鉛(トタン)板の附庇は間々用ゐらるるが如し」

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