トルイジン(読み)とるいじん(その他表記)toluidine

デジタル大辞泉 「トルイジン」の意味・読み・例文・類語

トルイジン(toluidine)

ベンゼン水素原子2個をメチル基およびアミノ基置換した化合物アゾ染料などの原料

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精選版 日本国語大辞典 「トルイジン」の意味・読み・例文・類語

トルイジン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] toluidine ) ベンゼンのメチル‐アミノ誘導体。分子式 C6H4(CH3)NH2 無色液体。ニトロトルエンを還元してつくる。アゾ染料トリフェニルメタン染料などの中間体または原料として重用されるほか有機合成原料、分析試薬などに用いられる。トリルアミンアミノトルエンメチルアニリン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルイジン」の意味・わかりやすい解説

トルイジン
とるいじん
toluidine

芳香族アミンの一つ。メチル基とアミノ基の相対的な位置により3種の異性体があり、いずれも対応するニトロトルエンの還元で得られる。アミノトルエン、メチルアニリンなどともいう。各種の染料の合成に用いられる。

(1)o(オルト)-トルイジン 無色の液体。普通はやや黄色を帯び、酸素や光の作用で赤褐色に変わる。水にはほとんど溶けないが、エタノールエチルアルコール)、エーテルにはよく溶ける。

(2)m(メタ)-トルイジン p(パラ)-トルイジンから2-ニトロ-4-メチルアニリンを経て合成する方法、トルエンを塩化アルミニウムの存在でメチルヒドロキシルアミンまたはヒドロキシアンモニウム塩アミノ化する方法などでも合成される。性質o-トルイジンに似ている。

(3)p-トルイジン 無色の結晶。水にはわずかに溶ける。エタノール、エーテルに対する溶解度は他の二つの異性体より劣る。

[務台 潔]


トルイジン(データノート)
とるいじんでーたのーと

トルイジン
(分子式C7H9N,分子量107.2)


o-トルイジン
 融点  α;-24.4℃
     β;-16.25℃
 沸点  199.7℃
 比重  0.9989(測定温度20℃)
 屈折率 1.57276(n

m-トルイジン
 融点  -31.5℃
 沸点  203.3℃
 比重  0.9916(測定温度18℃)
 屈折率 1.5711(n

p-トルイジン
 融点  43.5℃
 沸点  200.3℃
 比重  0.9703(測定温度39.9℃)
 屈折率 1.5532(n

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改訂新版 世界大百科事典 「トルイジン」の意味・わかりやすい解説

トルイジン
toluidine



アミノトルエン,メチルアニリンに相当する芳香族アミンで,o-,m-,p-の3異性体がある。いずれも対応するニトロトルエンの還元で得られるが,m-体は塩化アルミニウム存在下にヒドロキシルアミンとトルエンとを加熱しても得られる。

o-体は無色の液体で,融点はα体(不安定)-24.4℃,β体(安定)-16.25℃。沸点199.7℃。空気中で光に当たると赤褐色に変わる。塩基解離指数pKb(25℃)=9.61。m-体は無色の液体で,沸点203.3℃。pKb(25℃)=9.31。p-体は光沢のある無色の葉状結晶で,融点43.5℃,沸点200.3℃。pKb(25℃)=8.93。いずれも水に微溶で,たいていの有機溶媒に可溶。染料,色素の合成原料として重要である。
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化学辞典 第2版 「トルイジン」の解説

トルイジン
トルイジン
toluidine

aminotoluene.C7H9N(107.16).C6H4(CH3)NH2.トリルアミンまたはトルエンアミンともいう.o-,m-,p-トルイジンの3種類の異性体がある.いずれも対応するニトロトルエンを還元してつくられ,アニリンに類似した性質をもつ.o-およびm-トルイジンは無色の液体であるが,p-トルイジンは結晶である.水に微溶,たいていの有機溶剤に溶け,種々の染料の中間体として重要性をもつ.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルイジン」の意味・わかりやすい解説

トルイジン
toluidine

トルエンにアミノ基が置換した構造の化合物。化学式 CH3C6H4NH2o 体 (沸点 199.8℃) ,m 体 (沸点 203.3℃) ,p 体 (沸点 200.3℃) の3種がある。 p 体は白色結晶,ほかは無色液体。どれも合成染料の原料である。

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