音楽史の用語。およそ1650-1750年のバロック時代にナポリで活躍ないし教育を受けた作曲家を総称する。とりわけオペラの創作・上演は重要で,ナポリ楽派のオペラと声楽教育のメソードは18世紀ヨーロッパでは一つの模範となった。ベネチアからもたらされたオペラを発展させ,レチタティーボとアリアの明確な分離,ダ・カーポ・アリアとイタリア風序曲の確立,名技的な歌唱技巧の涵養等に貢献した。加えて,1720年代のメタスタージオによるリブレット改革を経てオペラ・セーリアとオペラ・ブッファという二大様式を打ち立てるなど,ナポリ楽派はオペラ史上大きな意義をもつ。A.スカルラッティによって最初の黄金時代が築かれた後,ブッファではペルゴレーシ,ピッチンニ,チマローザ,セーリアではF.ドウランテ(主として教育家),N.ポルポラ,レオ,ドイツ人のハッセJohann Adolf Hasse(1699-1783)ら多数の作曲家・教育家を輩出した。ヘンデル,クリスティアン・バッハ,グルックそしてモーツァルトらのオペラに与えた影響は大きい。
→オペラ
執筆者:土田 英三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
17世紀末から18世紀中ごろまでナポリを中心に活躍したオペラ作曲家たちで、アレッサンドロ・スカルラッティ、ペルゴレージ、パイジェッロ、チマローザらにより代表される。台本作者メタスタージオとともに、オペラの歌唱のアリアとレチタティーボへの分化を進めた。アリアは、ダ・カーポ・アリアとよばれるA―B―Aの形式をもち、旋律美と美しい発声、歌唱法(ベルカント)が追求された。とくに、カストラート(女声と同じ高音域を歌う去勢男性歌手)が活躍、技巧を競った。この楽派のオペラ様式は強い影響力をもち、18世紀中ごろのドイツ、イギリスのオペラはほとんどこの様式によっていたばかりでなく、その影響はモーツァルトの初期のオペラにまで及んでいる。また幕間(まくあい)の短く軽い内容の音楽劇(インテルメッツォ)はオペラ・ブッファの、序曲は古典派の交響曲の母体となった。
[美山良夫]
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