ハイタカ(その他表記)sparrow hawk
Accipiter nisus

改訂新版 世界大百科事典 「ハイタカ」の意味・わかりやすい解説

ハイタカ (鷂)
sparrow hawk
Accipiter nisus

タカ目タカ科の鳥。西はヨーロッパおよび北アフリカから東は日本まで,ユーラシアの中・高緯度地方で繁殖し,北方のものは冬はやや南に移動する。森林性の昼活動する猛禽(もうきん)で,草原や砂漠地帯にはすまない。上面は暗灰青色,下面は灰白色で,雄では赤褐色の,雌では濃褐色の横斑がある。多くのタカ科の鳥と同じように,この種でも雌のほうがひとまわり大きく,雌の全長約39cm,雄は約31cmである。かつては,大型の雌をハイタカ,小型の雄をコノリと呼び分けた。日本では,北海道と本州山林で繁殖し,冬は本州以南の丘陵や山ろくに移動するものがあり,田畑荒れ地に面する林縁にもよく姿を見せる。餌はほとんどがツグミ大以下の小鳥類で,森林中を飛翔(ひしよう)しながら脚でつかまえる。冬には開けたところで小鳥の群れを襲うこともある。5~6月ころ,低山帯の森林で木の枝上に小枝で巣をつくり,1腹4~5個の卵を産む。雌だけが抱卵し,33~35日間で孵化(ふか)する。

 日本にはハイタカ属の鳥は,ほかにハイタカより大型のオオタカとより小型のツミ分布している。なお,アメリカではsparrow hawkはハイタカではなく,ハヤブサ科のアメリカチョウゲンボウFalco sparveriusを指すことが多い。
タカ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイタカ」の意味・わかりやすい解説

ハイタカ
Accipiter nisus; Eurasian sparrowhawk

タカ目タカ科。全長は雄 19~34cm,雌 35~41cmで雌雄差が大きい。雄は背面が青灰色で,腹面が白地オレンジ色の横縞模様。雌は背面が褐色で,腹面が白地に褐色の横縞模様である。北極圏を除くヨーロッパからロシア東部,東アジア北部で繁殖する。南部では留鳥だが,ヨーロッパ北部やロシアで繁殖する鳥は越冬のため繁殖地の南部やアフリカ東北部,中東インドからインドシナ半島中国東部へ渡る。繁殖期はおもに森林にすみ,樹上枯れ枝を積んで巣をつくる。秋冬には開けた環境にも姿を現し,林縁などでもよく観察される。獲物はおもに小鳥で,樹上から探索し,見つけると追いかけて捕まえる。日本では北海道本州に留鳥として生息し,低山帯や平地の森林で繁殖する。さらに南では冬鳥(→渡り鳥)で,近年では都市部の緑地などにも進出している。「きっ,きっ,きっ」と鋭い声で鳴く。(→タカ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイタカ」の意味・わかりやすい解説

ハイタカ
はいたか / 鷂
sparrow hawk
[学] Accipiter nisus

鳥綱タカ目タカ科の鳥。ユーラシアの中部、アフリカ北部に分布する。日本では北海道と本州で繁殖し、本州以南で越冬する。大陸から冬鳥として渡来するものもある。全長約32~40センチメートル、翼は比較的短くて尾は長い。雌は雄より大きいため、雄にはコノリの別名がある。雄の上面は灰青色、下面は白地に橙褐色(とうかっしょく)の横斑(おうはん)がある。雌の上面は灰褐色、下面は白地に黒褐色の細かい横斑がある。低山の林で繁殖し、高木の枝の上に枯れ枝で皿形の巣をつくる。主食は鳥類で、飛翔(ひしょう)中の鳥を後方から追いかけて長めの足でつかむ。林の中でも巧みに飛ぶ。

[高野伸二]


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百科事典マイペディア 「ハイタカ」の意味・わかりやすい解説

ハイタカ

ワシタカ科の鳥。翼長雄21cm,雌25cm。背面が青灰色,腹面は白色で褐色斑が散在。雌は全体に褐色が強い。ユーラシア大陸中部と北アフリカに広く分布。日本では全土に留鳥または漂鳥として生息し,北海道と本州の森林で繁殖する。高い木の上に枯枝で巣を作り,小鳥やネズミ,昆虫等を食べる。雄をコノリということがある。準絶滅危惧(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目タカ(鷹)ツミ

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世界大百科事典(旧版)内のハイタカの言及

【鷹狩】より

…鷹野,放鷹(ほうよう)ともいう。猛禽類のタカ(オオタカハイタカツミ),ハヤブサ(ハヤブサ,コチョウゲンボウ),ワシ(イヌワシクマタカ)などを馴養して,これらに常食の鳥獣を捕捉させ,それを遣(つか)い手がとりあげる間接的な狩猟法である。猟犬のように獲物を狩人の手元に持ち帰ることはない。…

※「ハイタカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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