日本大百科全書(ニッポニカ)「ハナズオウ」の解説
ハナズオウ
はなずおう / 花蘇芳
[学] Cercis chinensis Bunge
マメ科(APG分類:マメ科)の落葉低木または小高木。普通は高さ3~4メートル。葉は互生し、円心形で長さ5~8センチメートル、先はとがり、基部は心臓形、全縁で両面はほとんど毛がない。4月下旬、葉に先だって、枝の節々に紅紫色で長さ1.5~1.8センチメートルの蝶形花(ちょうけいか)を固めて開く。雄しべは10本で、離生する。果実は線状長楕円(ちょうだえん)形で扁平(へんぺい)な莢(さや)になり、長さ5~7センチメートル。種子は2~6個ある。中国原産。名は、インド、マレー原産のマメ科植物であるスオウを用いた蘇芳染めに花色が似るのでつけられた。日当りのよい適潤地でよく育つ。繁殖は実生(みしょう)、挿木、株分けによる。北アメリカ原産のアメリカハナズオウC. canadensis L.は小高木で、花は淡紅色、葉の裏面に毛がある。まれに植栽される。
[小林義雄 2019年11月20日]
[参照項目] |