ハマボウフウ(英語表記)Glehnia littoralis Fr.Schm.

改訂新版 世界大百科事典 「ハマボウフウ」の意味・わかりやすい解説

ハマボウフウ (浜防風)
Glehnia littoralis Fr.Schm.

海岸砂浜に生えるセリ科の多年草。根は太くて長く,大きい株では1m以上に達する。葉は根生して,1~2回3出羽状複葉,小羽片は倒卵状楕円形,質が厚く表面は光沢がある。夏に高さ10~20cmの複散形花序を出し,白い5弁の小さい花を多数つける。花序や花茎には密に白い立毛がある。果実倒卵形で肥厚し,長さ6~8mm,背面には太い稜があって密に毛があり,熟すとコルク質になって分離し,砂上に散乱する。日本全土,朝鮮,中国,サハリン,ウスリー地方からオホーツク海沿岸に分布する。春に若芽をつんで刺身つまなどに用い,生で食べる。市場などで販売され,一般に料理にそえて用いられるところから,八百屋防風といわれることもある。根を北沙参(ほくしじん)といい,咳止めなどに使う。
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百科事典マイペディア 「ハマボウフウ」の意味・わかりやすい解説

ハマボウフウ

セリ科の多年草。日本全土,東アジアの海岸の砂地にはえる。根は黄色で深くのび,茎は短くて,高さ5〜10cm。葉は砂上に広がり,2回3出複葉で,厚く,光沢がある。夏,茎頂に複散形花序を出し,小さな白花を開く。花茎,花柄には白毛が密生。若い葉は葉柄が紫紅色で刺身のつまにされ,漢方ではボウフウ(防風。中国,朝鮮半島に産するセリ科の薬用植物)の代用とされる。
→関連項目海岸植物

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世界大百科事典(旧版)内のハマボウフウの言及

【塩生植物】より

…塩生湿地内の塩類濃度,浸水時間の場所による違いに対応して,異なる塩生植物が分布する。ハマボウは塩生湿地に群落をつくる代表的な例である。気根の発達,胎生的な芽生えなどの特徴を示すマングローブ林は西表島ではよく発達し,6種のマングローブ植物が生育するが,日本における分布の北端にあたる鹿児島県揖宿郡喜入町では規模が小さく,マングローブ植物としてはメヒルギただ1種が生育しているのみである。…

※「ハマボウフウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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