ドイツ中央部,北ドイツ低地と南側の山地地域との境界に位置する山地。北側を南東-北西方向の断層で切られた長さ90km,幅30kmの地塁山地で,北および西側は急傾斜をなしてハルツ前地に臨み,南および東側は緩やかに下っている。古生代の硬砂岩,片岩,ケイ岩,花コウ岩などからなるが,山地の形成は第三紀の地殻運動によるもので,ところどころに火山岩類の貫入がみられる。最高峰はブロッケン山(1142m)。山地は鉱産物に富み,岩塩,鉄鉱石,銅,鉛,銀,カリ塩など多種の鉱物が採掘され,鉱業が盛んに行われてきたが,現在は大きく後退してしまった。北麓のゴスラーは中世より鉱山都市として栄えた。山地は一面豊かな森林におおわれ,チューリンガー・ワルトに続くハルツの森として名高い。以前から高原保養地の機能を持っており,ウィンター・スポーツも盛んで,現在は観光業が重要である。
執筆者:武田 むつみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ドイツ中央部の山地。西北西―東南東に延び、長さ約100キロメートル、幅約30キロメートル。ドイツ中位山地の北端部にあたり、全般になだらかな山地であるが、西側と北側は比較的急傾斜をなす。ゲーテの『ファウスト』に出てくる最高峰ブロッケン山(1142メートル)は、山地の中央部にある。古くから銀、鉛、銅、鉄などの鉱石が採掘され、16世紀から18世紀にかけ、多くの鉱山が開かれてにぎわったが、現在ではほとんど採掘されていない。大部分が森林に覆われているが、低い緩やかな部分には農地も少なくない。谷をせき止めた美しい人造湖がいくつかあり、上水道用水源として用いられている。山間部や山麓(さんろく)には観光・保養地が多い。
[浮田典良]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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