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バシュラール Bachelard, Gaston

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バシュラール
Bachelard, Gaston

[生]1884.6.27. バールシュルオーブ
[没]1962.10.16. パリ
フランスの哲学者。中等教育を受けたのち,独学で数学の学士号をとる。第1次世界大戦後各地のリセ (高等中学校) の教壇に立ち,哲学教授資格,パリ大学文学博士号 (1927) を取得,ディジョン大学哲学教授 (1930~40) を経て,パリ大学科学史科学哲学教授 (1940~54) 。『科学精神の形成』 La Formation de l'esprit scientifique (1938) などを著わしたのち,フロイト,ユングなどの影響のもとに,文学を通じての夢と想像力の探究に転じた。主著に『火の精神分析』 Psychanalyse du feu (1938) ,『水と夢』L'Eau et les rêves (1942) ,『空気と夢想』L'Air et les songes (1943) ,『空間の詩学』 La Poétique de l'espace (1957) ,『ろうそくの炎』 La Flamme d'une chandelle (1961) 。

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デジタル大辞泉の解説

バシュラール(Gaston Bachelard)

[1884~1962]フランスの科学哲学者・文学批評家。構造主義先駆者の一人。科学的認識の獲得のために、前科学的な思考との断絶を求めた「認識論的切断」で知られる。のちには詩的想像力の領域に論を広げ、イメージや夢想の世界を考察した。著「否定の哲学」「水と夢」「空間の詩学」など。

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百科事典マイペディアの解説

バシュラール

フランスの科学哲学者,詩学者。ディジョン,パリの各大学教授を歴任。《科学的精神の形成》(1938年),《否定の哲学》(1940年)などで現代科学の認識論的検討を行い,カンギレムアルチュセールフーコーらに受け継がれて構造主義の先駆者と目されるほか,《火の精神分析》(1938年),《空と夢》(1942年)などで果たされた〈物質的想像力〉にもとづくイメージ分析はヌーベル・クリティックなどの批評界にも影響を与えた。

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世界大百科事典 第2版の解説

バシュラール【Gaston Bachelard】

1884‐1962
フランスの科学哲学者。構造主義の先駆者の一人として,また,その詩論,イマージュ論でも知られる。1927年《近似的認識にかんする試論》で学位をえた後,ディジョン大学講師,教授をへて,40年ソルボンヌ(パリ大学)に迎えられ,科学史,科学哲学を講ずるとともに,同大学付属の科学史・技術史研究所長を務めた。54年,同大学名誉教授。 20世紀初頭ほぼ4分の1世紀に及んだ〈物理学の革命〉を目のあたりにして,科学をその動的な変化発展の相においてとらえるなかで,この変革期の科学の,その活動に即した意味を,従来の哲学や日常的認識,あるいはまた科学者自身に投げかけることに〈科学の哲学〉の位置を求めた。

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大辞林 第三版の解説

バシュラール【Gaston Bachelard】

1884~1962) フランスの科学哲学者・詩論家。科学精神の動的側面を強調する哲学を示す一方で、日常感覚や意識の深層にひそむ科学的認識に対する障害の摘出と、科学とは別の軸ではたらく想像力そのものの考察を展開した。著「否定の哲学」「空間の詩学」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バシュラール
ばしゅらーる
Gaston Bachelard
(1884―1962)

フランスの哲学者。シャンパーニュ地方のバル・シュル・オーブで生まれる。郵便局員、やがて第一次世界大戦に参加、40歳を越えてからディジョン大学哲学教授(1930~1940)を経て、ソルボンヌ大学(パリ大学)教授。
 科学史・科学哲学と文芸評論とのつながりに独自の地位を占める。この二つの異質な領域は彼にあっては相補的な緊張を示し、多彩な思想が展開される。前者は『近似的認識試論』(1928)に始まり、『新科学的精神』(1934)、『持続の弁証法』(1935)、『科学的精神の形成』(1938)、『否定の哲学』(1940)、『合理的唯物論』(1953)へと展開。真の合理主義の発展に対して誤った合理化が障害となるため、固定化に打ち勝って創造的な認識へ進むべきことが説かれる。認識の進歩について直線的連続の神話が否定されて、歴史の回帰性が示された。また単純化する哲学のア・プリオリな態度に反対し、メイエルソンの同一化に対して問題の差異化、統一化に対して分散化が主張された。実在とは科学的認識の投企(プロジェ)であるとする科学の技術的性格が強調され、参加(アンガジェ)としての全面的な合理主義、「開かれた哲学」が説かれた。後者、文芸評論については『火の精神分析』(1938)、『ロートレアモン』(1940)より、四元素についての一連の精神分析を経て、『蝋燭(ろうそく)の焔(ほのお)』(1961)に至る著作で、夢想について現象学的記述が深められた。夢想は物質と生命に対する精神による攻撃的な能動性を示し、身体性の媒介によって想像力の創造性を展開するものとされた。[池長 澄]
『渋沢孝輔訳『蝋燭の焔』(1966・現代思潮社) ▽前田耕作訳『火の精神分析』(1969/改訳版・1999・せりか書房) ▽中村雄二郎他訳『否定の哲学』(1974・白水社) ▽及川馥他訳『科学的精神の形成』(1975・国文社/2012・平凡社) ▽関根克彦訳『新しい科学的精神』(1976・中央公論社/ちくま学芸文庫) ▽掛下栄一郎訳『持続の弁証法』(1976・国文社) ▽豊田彰他訳『近似的認識論』(1982・国文社) ▽平井照敏訳『ロートレアモン』(1984・思潮社)』

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